128 ページ29
ルチルたちを送り出した私はカインたちがいる食堂に向かった
食堂に入るとカインに驚いた顔をされた
カイン「っ、！」
A「あ……ごめんなさい。ノックもしないで、驚かせてしまいましたか？」
カイン「その声は賢者様か？」
カインには私が見えていないのだろう
目が合わない
私はカインの手をとった
A「握手……これで見えますか？」
カイン「ああ、気をつけてくれ。魔法舎にオーエンが来ている。中庭の方をみてくる」
A「私も一緒に行きます」
オーエンが目を怪我したら大変だから
私はカインと中庭に出た
カイン「どこにいるんだ……オーエン！オーエン、出てこい！」
ざわざわと中庭の草木が騒ぐ
晴れ渡った空に雲が漂って、陽射しを陰らせた
ふいに、カインが足を止める
大樹の陰を見据えて、低く呟いた
カイン「……あそこだ」
木の後ろには確かに人影があった
じっとこちらを覗いている
カイン「見てくる。ここで待っていろ」
A「わかりました、オーエンの話も聞いてあげてください。オーエンには当時の記憶がないんです」
カイン「あいつの話を聞いていたらこっちの頭がおかしくなる」
そう言ってカインは大樹の方を睨んだ
魔法使い同士でこんなにいがみ合っているのにどうやったら人間と仲良くできるのか
その答えはまだ私にはわからなかった
カインが木陰まで近づくとオーエンが出てきた
オーエン「……騎士様」
カイン「出てこい、オーエン」
カインはオーエンの腕を乱雑につかみ、木陰から引っ張り出した
オーエンは驚きを浮かべ、腰が抜けたように地面に膝をつく
困惑を浮かべるカインを嬉しそうに眺めている
オーエン「騎士様だ」
カイン「何を言ってる……国中の人間がお前を探している！ニコラス団長に何をした！」
オーエン「ニコラスが言ったよ。カインが国で一番強い、騎士様だって」
カイン「オーエン？」
オーエン「いい子にしてたら騎士様が助けに来てくれると思った。僕を助けに来てくれたの？」
カイン「何を言っているんだ？」
カインが驚いて手を離すと何かにすがる子供のようにオーエンはカインの手を握った
カインを見つめるその笑顔はあどけない期待に満ちている
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佐倉紗南 - ドキドキしました!更新頑張ってぐださい！楽しみに待ってます! (8月14日 23時) (
レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
しらたま(プロフ) - Ricoさん» コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (8月14日 22時) (レス) id: 6b12ab85f0 (このIDを非表示/違反報告)
しらたま(プロフ) - 佐倉紗南さん» 更新しました！ぜひお読みください！ (8月14日 22時) (レス) id: 6b12ab85f0 (このIDを非表示/違反報告)
Rico(プロフ) - 最近、この作品を読みました。続きが気になるので、更新お待ちしています。 (8月14日 21時) (レス) @page49 id: 3a6a1a4cba (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - はい!更新楽しみに待ってます! (8月14日 10時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しらたま | 作成日時：2023年6月17日 21時
