壊れかけの世界で愛される賢者【魔法使いの約束】

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ムル「賢者様、西の魔法使いムルだよ！賢者様は空を飛んだことはある？」

A「ないです」

ムル「じゃあ俺と行こう！おいで！」

A「わ！」

カイン「コラ！ムル！」

ムル「《エアニュー・ランブル》」

呪文をムルが口にするとどこからともなく箒がムルの手元に現れた

ムルは箒を片手に私を連れ駆け出しそのまま近くの窓から飛び降りた

A「わああああ……！」

夜の冷たい風がびゅうびゅうと吹き上げる

悲鳴をあげる私の目の前に同じように逆さまのムルが笑顔で現れた

ムル「ねぇねぇ死んじゃうと思ってる？それってドキドキする？ワクワクする？」

そんなのこんな状況じゃ答えられない！

カイン「ムルいい加減にしろ！賢者様に何かあったらどうする！」

ムル「どうする？」

カイン「俺に聞くな！」

ムル「わかったってば！」

ムル「賢者様俺に捕まって」

ムルの腕に捕まるとムルは器用に箒にまたがって夜空に急上昇していった

下を眺めるとここはやはり日本ではなかった

でもここで何を言っても状況は変わらないので黙っていることにした

カイン「ムル！無理をするな！賢者様をお連れしているんだぞ！」

ムルは冷たい夜の空気を鳥のように切って進んでいく

A「ムル？」

ムル「なに？賢者様？」

A「さっきの答えです。さっきは驚いて答えられなかったから」

A「心臓がバクバクしました。感情は恐怖よりも好奇心が勝っていました」

ムル「そっか！賢者様のこと気に入った！」

A「ありがとうございます」

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