✧*。じゅっこ。✧*。 ページ15
朝のこともあってあまり見たくは無い光景だった。
が、
「お〜〜〜い!!!!白石!!彰人〜!!」
私の気持ちとは反して、司くんは元気に彼等に手を振った。相変わらず声がでかいなぁ。少し耳が痛いや。
すると、当たり前だが2人が私の方を振り向いた。ぱち、と音が鳴りそうな程2人と目が合う。なんだか後ろめたくて、思わず目を逸らしてしまった。
変に思われてしまったかもしれない。
すぐに気づいた杏が手を振ってくれた。東雲くんと何か言っているが、遠くて聞こえない。
私の悪口、かな。二人の時間邪魔しちゃったな。ひとりでそう考えて悲しくなる。
2人はそんな人では無いことは分かっているけど、今の私のメンタルは既にボロボロで、泣きそうになる。小さく鼻をすすって、下を向いた。
「…どうした?まだ、怖いのか?」
司くんが立ち止まって振り向く。東雲くんもいるから余計に不安を掻き立ててしまったみたい。
『だ、大丈夫!!行こ!!』
不要な心配を掛けてはいけない。そう思った私は意識して元気に返事をして、歩くスピードを上げた。
「花音〜!今日はよく会うね!!司先輩も!」
杏が勢いよく抱きついてそう言う。私もそれに応えながら、涙をこっそり拭った。大丈夫。バレてないみたい。
『うん、そうだね。』
「彰人も白石も練習帰りか?」
「まぁ、そうっすけど。司先輩と…雨宮先輩?ですか?」
そういえば東雲くんとは何だかんだ初対面かもしれない。今日で知り合いの数がすごく増えた気がする…司くんのおかげだ。
『ぁ、うん、そう、だね、えっと、よ、よろしく?』
「よろしくお願いします。雨宮先輩。」
東雲くんは急に態度を変えてニコニコしだした。普通に怖い。二重人格なのかな、触れないでおいた方が良い気がする。
その後は司くんを主に、4人で帰路に着いた。司くんの予想は的中していて、2人は練習帰りだったみたい。いつかRADWEEKENDを超えるのだと意気込む2人は、私には少し眩しすぎた。
『私、こっちだから!えっと、また、明日。』
「あぁ!気をつけて帰るんだぞ!!」
手を振ってくれた3人に別れを告げて、早歩きで家を目指す。少し息が苦しかった。自室のドアを閉めた途端に足の力が抜けて、思わずへなへなとしゃがみこんでしまう。
自分でも苛つく程に弱い。本当に今日は色々ありすぎて、涙が止まってくれなかった。
『……何で、こんなに弱いんだろう。』
私と独り言は、誰にも届くことなく消えていった。
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#うゆーな. - オリフラの件、気づいてくれてよかったです!更新楽しみにしてますねー! (2月1日 20時) (レス) id: eb74aaaf07 (このIDを非表示/違反報告)
#うゆーな. - オリフラたっちゃってるのではずしといてくださいね!犯罪になっちゃうのでー!! (2月1日 17時) (レス) id: eb74aaaf07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花音 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=yuna23567922
作成日時:2023年12月29日 1時