#Episode03 ページ25
.
「……………」
_____見えるのは、保健室の天井。
それから横を見ると、心配そうに私を見つめる藤原先輩がいた。
「…………先輩」
きっと私をここまで運んでくれたんであろう先輩は、
『お前バカ。』
と、腕を組みながらそう言って、完全にご立腹モードだった。
『なんかの拍子に怪我でもしたらどうすんねん』
と、怒った表情で私にいつものデコピンをし、
『お前だけには怪我して欲しくないのに…』
と、ボソッと呟く藤原先輩。
まだ頭がぼーっとしている私は、あまり深い意味も考えず、とりあえず
「…………ごめんなさい」
と、機械的に謝っていた。
『まぁええけど。……その代わり、』
『"憧れてる先輩は藤原先輩です"ってちゃんと言いふらすんやぞ?』
そう言って、爽やかな笑顔を見せる藤原先輩は、こんなんでも実は、部員からモテていることを私は知っている。
『お前のこと、なんか放っとかれへんねん』
『あんま無理すんな』
なのに、何故いつも私だけ……こんなに気にかけてくれるのかは謎だった。
『俺、今日は優しいやろ』
『あんま惚れんなよ?笑』
そう思っていると、いつも冗談のように話す藤原先輩が、少しいつもとは違う態度で言葉を漏らす。
『……まぁ、お前なら、彼女にしてやってもええけど』
今は力が出ない私も、これには全身がビクッと跳ねるほどに驚いた。
「先輩、……それ正気…?」
『おい、それどういう意味やねん 笑』
「だって……いっつも冗談ばっかじゃん」
『こら。敬語を使いなさいよ敬語を〜』
"俺は本気やで" と、ポンポンと頭を撫でその場を去る先輩は、
『明日、元気になったら部活戻って来いよ』
と、手をヒラヒラさせて、保健室を出て行った。
「…………。」
_______彼は私の救世主。
ピンチの時にいつも助けてくれる、私の心優しいヒーローだ。
__________先輩 藤原丈一郎
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るる - ちょ!ニヤニヤが止まらないです!こんな作品求めてた!最高です! (5月27日 20時) (レス) @page27 id: 88a7fca5d2 (このIDを非表示/違反報告)
27(プロフ) - めがねさん» コメント有難うございます!短編集ではありますが、全体として一体感が出るように、話の繋ぎには工夫したので、気づいていただけてとても嬉しいです^^今後とも宜しくお願いします! (2022年8月15日 2時) (レス) id: 095c327c42 (このIDを非表示/違反報告)
めがね - 話の始まり方、1話1話の繋ぎにちょっとした遊びがあってとても面白いです。 (2022年8月15日 1時) (レス) @page6 id: d88aa2443e (このIDを非表示/違反報告)
檸檬の妹(プロフ) - 27さん» 返信ありがとうございます!絶対に見ます! (2022年8月9日 8時) (レス) id: 1fb600e1a2 (このIDを非表示/違反報告)
27(プロフ) - 檸檬の妹さん» コメントありがとうございます!読んでいただけるだけでも有り難いのに、感想を頂けてとても嬉しいです(;_;)更新したので、引き続き楽しんでいただければ幸いです! (2022年8月9日 5時) (レス) id: 095c327c42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:27 | 作成日時:2022年8月6日 15時