幽霊の見える小学生になった件7th

二百七十六件目 ページ10

YOUside
昼下がりの午後。

私はとある決断をした。

『ねぇ、ヒロくん。私さ、探したい人がいるんだけど』

《探したい人？誰？》

《探したい人とか急だな。》

シンガポールから帰ってきて1週間。

私は私の中で化け物と向き合うことにした。

役に立てない私が出来ること。

それは組織壊滅するための情報を組織によって消された人達から集めること。

消された人は強い念によって化け物になって今も尚殺したヤツの近くにいるだろう。

リシさんのお父さんのお陰で分かったことがある。

死後の記憶をも化け物は持っているということを。

そこから情報を得ればいい。

『組織によって殺された人を探したいの。』

するとヒロくんの顔が険しくなった。

《まさかとは思うけど化け物に接触しようとは思ってないよね？》

《……化け物と接触するのは危険じゃないのか？》

班長は心配そうだ。

《この前もやばかったんだろ？》

松田は眉間に皺を寄せた。

《何しようっていうのAちゃん。》

萩原はとりあえず私のやりたいことを聞いてくれるようだ。

『私、この前も言った通り化け物の記憶が垣間見れるの。生前の記憶はもちろん死後の情景も。』

部屋がシンとなった。

『組織の情報が得られるかも。上手く立ち回れば公安とかFBIの助けになる。だから……』

《それは賛成出来ないよ。Aちゃん。》

静かな部屋でヒロくんはハッキリとした声で私に言った。

『なんで？組織を壊滅出来るかもしれないんだよ？』

原作よりももっと早く、そして死者も出ずに。

情報は多くあったっていい。

何を危惧していると言うのだろうか。

《A、あの時の苦しみは尋常じゃなかったんでしょ》

『私さえ我慢すれば沢山の人の命を救えるじゃない。』

この方法があればnocの人が死ぬことは無いだろう。

安室さんだってnocだとバレないだろう。

《そうじゃないんだよ……！Aちゃん！》

心做しかヒロくんは悲しそうだ。

『何言ってるの？』

《どうしてAちゃんは自分を大事にしようとしないんだ！》

私の肩をヒロくんが掴んだ。

《君は僕たちとは違うんだ。》

違う？

何が違うというのだろうか？

私は半分は幽霊のようなものだと言うのに。

転生してきたのはきっとコナンの世界で役に立ってこいと言う神のお達しだろう。

"人は誰かの役に立てなくなった時死ぬんだよ。"

どこかでそんな声がした気がした。

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