幽霊の見える小学生になった件7th

二百七十七件目 ページ11

"人は誰かの役に立てなくなった時死ぬんだよ。"

どこかでそんな声がした気がした。

誰だっけ。

この言葉を私にかけたのは。

その声を聞いた時たまらなく怖くなった。

そして何も出来ない自分に絶望した。

『……止めても私はやるよ。』

《なんで！》

『じゃあ私は何ができることあるって言うの？今の私はただの小学生だよ。』

こんな体じゃ何も出来ない。

何するにも警察学校組の力を借りなければならないのだ。

コナンくんのように博士に秘密道具でも借りればいいのだろうか？

何か。

何か私に出来ることは無いのか。

いつも、何時だって私は思っていた。

何にも出来なかったから。

安室さんがにやられた時だってヒロくん達がいなかったら安室さんの仇を打つことが出来なかった。

やっと何か出来ると思ったのに。

『……私は役に立たなきゃ、立てなきゃいる意味なんてないんだよ。』

《なんでそんなことを思うんだよ、Aちゃん！》

その顔は何故か怒っていた。

《落ち着いて、諸伏ちゃん。》

『なんで怒るの？、』

組織に殺された人を探すのにヒロくんたちを頼ろうとしたから？

《……A。》

いつもうるさい松田が静かに口を開いた。

《Aは何を恐れてるのか分からん。俺らには。》

まるで幼い子を諭すように松田は言った。

私は警察学校組と同じ29歳だと前に言ったはずなんだけどな。

《諸伏は、いや俺らはA、お前を家族のように大事な友人のように思ってる。》

嬉しいこと言うじゃないか、と場違いなことを私は思ってしまう。

《だからお前が苦しむ顔を見るのは嫌だ。だからお前をとめるんだ。》

『でも、私さえ我慢したら沢山の人が死なずに済むよ！？』

1人と沢山の人を天秤にかけたら一目瞭然だろう。

《違うんだよ、Aちゃん。》

『……どうしてヒロくんが泣きそうなの？』

どうしてこんなにもみんなのことが分からないのだろうか。

半年もの時間をほぼ一緒に過ごしたと言うのに。

《君の前世だとかは知らないが、今の君は一般人だ。必要以上傷つくことは無いんだよ！》

その声はどこまでも悲痛な声だった。


作者です。昔降谷に29歳されど29歳だとかなんとか言ってましたが特大ブーメランだったという話です。

彼女を、加賀宮菫を縛るのは役に立てという言葉。

一体誰がかけた呪いなのでしょうか。

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