▽お題:好きって言ってください/秋組 ページ34
『好きって言ってくださいな』
「･･･何言ってんの？」
いや待ってください、冷たい目やめてください。
『お願い、万里くん』
手を合わせて首を傾げてそうお願いすれば、頭を掻きむしりながらため息をつく彼。
「なぁ、煽ってんのか？」
『え、』
「大好きだっつーの」
優しく割れ物のように頬に手を伸ばし、見つめながら言われたもんだから適わない。
『･･･好きって言ってく、』
「あ？」
『な、何でもないっ、です！』
頼み事が頼み事だから、ただただ返された言葉にもビビって引いてしまう。
いつもは何ともないんだけども。
「どうしたんスか」
『え、いや･･･別に』
「？」
首を傾げる十座くんに苦笑いを返す。
これ絶対分かってないヤツだ。
「･･･Aさん、好きっす」
意図が分かったような顔になってから
顔を真っ赤に染めて言われるもんだから、可愛くて。
『ふふ、ありがとう』
『好きって言ってください！』
「好きっすよー！大好きっす！！」
あれ、子犬拾ってきちゃったかな？
耳としっぽが見えるなぁ。
『太一くんは可愛いね』
「･･･。」
少しだけムスッとして言葉が詰まる彼に首を傾げれば、
「Aさん、好きです」
熱を帯びた瞳で見つめられ、真剣に言うもんだから私の頬は赤く染まった。
『好きっていってください！』
「･･･俺がか？」
頷けば、頬を人差し指で掻きながら苦笑いを浮かべる臣くん。
『ダメ、ですかね？』
「お前なぁ･･･。」
はぁ とため息をついた彼は表情が一変、とても真剣で瞳に熱が帯びる。
「なぁA、」
一気に壁際まで追い詰められ、手が頬を伝う。
そして耳元で一言。
「好きだよ」
『好きって言ってください！』
「はぁ？」
眼鏡から見える左京さんの視線は冷たい。
もう何言われてもめげないぞ。
『ダメ、ですか？』
「･･･ったく、」
わしゃわしゃと自分の頭を掻きむしった彼は、私の顎を掴んで上を向かせ、目線が交じリ合う。
「煽んなバカ野郎、」
『ばっ、ばかって･･･！』
「好きだ」
目を細めて嬉しそうに、愛しいものを見るように言う左京さんには適わない。
『･･･っ演技スイッチ入るの早すぎです』
「お前が悪い」
▽お題:好きって言ってください/冬組→←▽お題:好きって言ってください/夏組
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
R1(プロフ) - いつも楽しく読んではひとり変な舞を踊っております。そこで十座くんで帰りが遅くて心配されるというシチュエーションをお願いしたいです！お時間があれば書いていただけると嬉しいです！ (2022年6月9日 21時) (
レス) id: f12a74fee1 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - 初さん» 初めまして。誤字報告ありがとうございます、そして気付かずにすみませんでした...。これからも更新頑張っていくので不束者ですがよろしくお願いします！ (2022年4月17日 23時) (レス) @page45 id: c4adadee4d (このIDを非表示/違反報告)
初(プロフ) - 初めまして、お話素敵でした！卯月さんではなく卯木さんですので誤字報告させて頂きました。 (2022年4月17日 20時) (レス) @page45 id: 14241c496e (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - さらさん» 喜んでいただけたようで良かったです！こちらこそありがとうございました！！ (2022年3月21日 20時) (レス) @page44 id: c4adadee4d (このIDを非表示/違反報告)
さら - お話最高でした！！書いてくださりありがとうございます！！綴くん格好よかったです！！本当にありがとうございました！！ (2022年3月20日 23時) (レス) @page44 id: f9b4a84be1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：零音 | 作成日時：2017年2月24日 16時
