【A3!】そ こ な し ぬ ま 。

▽限定/兵頭十座 ページ13

『あ、十座くん！』

「･･･っす」

『いい所にいた！』

「なんすか？」



目的地へ向かって歩いていると、十座くんがいて声をかける。

ホントにいい所にいた！諦めかけてたのに･･･！



『和菓子が美味しいお店に行かない？奢るから！』

「････マジすか？」

『うん、マジマジ！』

「いいんすか？」

『来てくれると嬉しい！』

「････行きます」

『やった！』



肯定の返事を聞けたので、すぐに十座くんの腕を引っ張って目的地へ。

これで本当の目的知っちゃったら、引き返しちゃうかな？



「･････おい、これ」

『やっぱりダメ、かな？』



十座くんが指差す先には、
男女カップルには特大パフェプレゼント！と大きく書いてあるチラシ。
ご丁寧に並んでいる客全員が全員、カップルである。

凄く美味しそうなんだもん！！やっぱり甘いものに負けるのが人間ってものじゃないでしょうか･･･。



「･････アンタがいいなら、別に」

『ホント！？ありがとう！！』



俺も食べたいし、なんて聞こえてきて。

やっぱり十座くん連れてきて良かった！念願の特大パフェ！！

なんて考えながら並んでいると、人が多いせいか
誰かに肩を押されて十座くんの方によろける。



「････ッチ。
大丈夫か？」

『っ、ありが、と』



十座くんは優しく抱きとめてくれて、お礼を言うために顔を上げると
顔と顔の近さに驚いて、頬に熱が帯びる感覚。

あ、わりィなんていって離れる十座くんは案外なんともなくて。
悔しくて背中に向かってあっかんべーをした。

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