【あんスタ】ただの用務員ですが。なにか？ (ページ22)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:71,233 hit

71.心臓止まったわページ22

『･･･お邪魔しまーす』

手芸部部室のドアを遠慮気味にゆっくりと開き、音を立てないようにドアを閉めて中に入る。

いや別にやましいことはないですよ。無いですけど、かなり前にValkyrieのお二人方にレッスンするって約束をぼんやりと思い出してしまって罪悪感に苛まれたのは記憶に新しいんですよ。
･･･これやましいことか。

『誰もいない、か』

このままにしておくのも嫌だけど、今はまだ無理だな。

さっさと掃除と点検を終わらせて帰ろうと意気込んだ瞬間、“あるもの”が目に留まり体が固まり息が詰まる。

『･････ｯえ、』
『影片くん･･･？』

床に何も掛けずに転がっている影片くんに思考を動かそうとするが、こんな状況に出くわしたことが無い俺の脳は正常に動いてくれない。

･･･と、とりあえず救急車！？いや待て、声掛けて反応がないだけだから体揺すって確認した方がいいか？あれ、体とか揺すっていいんだったか！？ダメだ、正解が導けない。

ｶﾞﾁｬ

「･･･何を突っ立っているのだよ」

『･･･ｯあ、だっ、て･･･影片くん、が』

「･･･寝てるだけなのだよ」

『･････へ、』

斎宮くんの乱入と言葉によって、冷静になってもう一度影片くんを見てみれば、確かに浅いがお腹は動いている。それに斎宮くんの手にはブランケットが握られてた。
寝てる、という事を頭から理解すると、変に入っていた力が一気に抜けてへなへなと地面に腰を下ろした。

マジでビックリした、頼むからこんな地面で寝ないでくれよ。しかも呼吸浅いと心配すっからさぁ。

『なんだ、･･･ビックリした』

「情けないのだよ」

『事情も知らずにこの場面に立ち会ってみろ、心臓止まったわ』

「･･･知りたくもないのだよ」

言葉は少しキツいが、ブランケットを掛けてあげるその手つきは腫れ物を触るようにとても優しくて。

やっぱり優しいよなぁ斎宮くん。言葉はどうにかして欲しいけどさ。

「で、掃除かね？」

『あー、そう。あといつかの約束を取り付けに』

「･･･レッスンか」

『嫌なら全然大丈夫ですけど！！』

俺が食い気味に問いかければ、鬱陶しいと一蹴されてしまった。というか影片くんが起きてしまった。

ごめん、今のは完全に俺が悪いし反省してるからそんなに睨まないで斎宮くん。