その唇を奪いたい【green】

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「Aやろ！？久しぶりやなぁー！」


「え？」








ぽわぽわした気分からハッと我に返ると、喜ぶ子犬のようにブンブンしっぽを振ってるヤスと、そんなヤスに苦笑いするA






え、知り合いなん？








そんな光景を目をぱちぱちさせながら見つめてるヤスの奥さんのさやかさん


さやかさんの不思議そうな顔からすると、ここの2人が知り合いやったって事はさやかさんも知らないんやろな


なら俺が知らんでも別に変やないか


てことは俺はAから信頼されてないとかやないな！




ふぅ、危ない危ない








「ほんまに久しぶりやん！」


『せやな。元気やった？』


「ばぁり元気！」







クシャりと笑うヤスを目を細めて見つめるA


どっちが年上よ。ってくらいAが大人びて見える







「2人は知り合いなん？」


「おん！知り合いっちゅーか、幼なじみやねん！」


「え、幼なじみ！？」







話を聞くと、どうやらAの5つ上のヤスは、家が向かい合わせだったAの面倒をよく見ていたそうで


ヤスが行くとこ行くとこに着いてまわるくらいAはヤスに懐いていたようで



そんな感じで2人は年が離れてても仲良く遊んだりしてたらしい



ヤスが大学を卒業して就職した時からなかなか会えんなってしまったらしいけど









「あ、紹介するわ！さやか！俺の奥さん！んで、息子の翔」


『さやかさん、はじめまして。翔くんもこんにちは』







優しい顔して翔くんの頭を撫でる


Aに子供が出来たらこんな感じやろか？




勝手に妄想して口角を上げる








「一緒に食べよーや！」









キラキラした目でAの隣の席に座る


Aと幼なじみで、久しぶりに出会ったんなら、一緒に食べたいのもわかる


まぁ、ええか


これがもしあの小麦色の男だったら絶対一緒に食べへんかったけど








『いや、私達もうおなかいっぱいだから帰るね』


「え？」








俺がヤスを許した(？)矢先、Aが席から腰を浮かせた


え、もうお腹いっぱいなん？


さっき来たばっかやん


まだ数個しか食べてへんやろ







「え？そーなん？」


『うん、ね、忠義』


「え？あ、いや、そーやな」








なんで忠義呼びしてくれるのかわからへん


けど


Aに何か事情があるのは分かった








だってなんか、不思議な顔してる









嬉しいような、困ったような、そんな顔






俺には見せてくれへん、そんな顔

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