その唇を奪いたい【green】

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長かった3日間をなんとかやり切った


俺頑張った


クレームを対応して心身ともに疲労困憊の時にさらに増やされる打ち込み作業なんて


幸せ絶頂の七瀬と、丸山を見るのが嫌で、事前にお願いして営業から異動させて貰ったけど……


やっぱ俺営業のが合う気ぃする








でも、そんな疲れも吹っ飛ぶぐらい今俺は緊張してる






ほんまに今日ならいるやろか





よし、行くで…







「…失礼しまーす…」


「お。来た」


「すばるくん、俺、来たで」


「見たらわかるわ笑」


「これでも勇気絞ってん！」


「お前ヘタレやからな。頑張った方やん」ｹﾗｹﾗ









すばるくんは今日気分がいいらしい


いい感じに笑ってくれた








「で…その…」


「おう。来てるで。そこのカウンターの端っこ」


「あ…」








黒い長い髪


何か物思いにふけるようにジッと一点を見つめながらジントニックを飲むA





綺麗…やな…


あかん、好きって思ったら俺、話しかけられへん






いや、これは話しかけへん方がええのか？


偶然を装って言った方がええんか？


さりげなく隣に座るか…？








いやっ、いやいやっ、俺のヘタレが出てきてる


あかんあかん。ちゃんと話しかけな







「お前……きしょいな…」


「すばるくん、それは酷ない？」


「百面相とかリアルで見たん初めてやわ」


「すばるくん、俺行った方がええかな、偶然を装うほうがええかな」







怪訝な顔してたすばるくんに聞けば、知らんわとでも言うように鼻で笑った







「一つだけ言うと、尻込みしてたらあいつは捕まえられへんで」


「突撃します」








スゥゥゥ……


ハァァァァ……






深く深呼吸して












「久しぶりやな、A」


『…ん？』







グラスに口つけながら視線だけ俺の方


上目遣いにやられそうになる心を必死で落ち着かせる








『あぁ…おーくらか』


「おん。」






あぁってなに…


もしかして忘れかけてたん？








『ごめんちょっと、ぼーっとしてて』


「や、ええけど。1人の方がいい？俺違うとこ行こか？」


『んや、いて欲しい…かもしれへん』








多分もう結構飲んでる


ほんのり頬が赤い






今日はそっとしとった方がええかな









『すばる、なんか食べたい』


「何がええん」


『すばるの作れるもんて限られてるやん』


「たらこパスタ」


『それがええ』


「俺もください」

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