その唇を奪いたい【green】

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丸山、てやつはいいやつやった



友達たくさんおるし、優しやつで



七瀬が好きになるんもわかった












せやけど、4年間積もらせていた恋心はそんな簡単に消えるものでも、諦められるものでもなかった
















「おにーさん、うちのお店、よってかない？」



「……」













派手なメイクと露出の激しい服




さっきからそんな女が寄ってくる



ここはそういう通り









なんでここに来たんかは分からへん



でもあのまま家に帰りたくなかった





七瀬はまだ結婚してないんちゃうかって


これは全部夢なんちゃうかって





認めたく無くて


















七瀬を心からお祝い出来ひん自分に腹が立つ



4年間も思い続けてきて、告られへんかったヘタレな自分にもっと腹立つ



ちょっと時間が経つと、悲しみは怒りに変わって









「ねぇおにぃーさぁん、一緒に飲もーよ♡」


「さい…」


「んー？」


「うっさいねん。触んな」









思いっきり八つ当たりする始末









「なんやねん…」









行き場のない怒り


























『おにぃさん、暇？』




「せやから！うっさい言っとんねん！！！」









腕に回ってきた手を思いっきり振り払う









『…私まだ1回しか誘ってへんやん』



「……」



『ま、お兄さんイケメンやし。女がよって来るのも分からんでもないけどな』









さっきまでのヤツらとはちがうような女が下から見上げてる



落ち着いたメイクと、普通の女のコらしい服



見た感じやと…



俺よりは年下…かな









「…ごめん。腹立つことあってん」


『ふぅん』









つまんなそうに呟いたその女は、1度時計をちらっと見ると、パンっと手を合わせて









『はい。そんなら今日の仕事はここまでっと』



「…？」









『お兄さん、この後一緒に飲まへん？』



「…え？」



『あ、これは仕事とちゃうで。普通にお兄さんと飲みたくなったから』









時計は今11時を指してる



明日、朝からミーティングあったな













なんて、考えても見たけど


















「行く」


『んふ、いいね。帰るって言ったらつまんないやつやなって思うとこだった』



『お兄さん、名前は？』



「大倉忠義」



『ん。おーくらね。私はA。オススメの店あんねん。着いてきて』








口から勝手に行くって言うとった

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