僕が君の為に笑おう《JW》 (ページ43)

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○ ページ43

「わっ、え、ちょ、ともくん？」

戸惑うAを腕の中に閉じ込めたのは、本当に無意識。

『どうしよ、ほんまに好き…』

「嬉しいけど、何で今…？」

何でって言われてもな、溢れ出るもんやから、気持ちって。

思ったとき伝えておかないと。

『理由なんか知らん、言いたくなっただけ』

変なの、と言いながらも笑って腕を回してくるA。

『仕事とか、色々しんどいなって思っても、いつもAが助けてくれるから…

だからここまで頑張れてる。ありがとう』

「照れる、どうしよう」

ぐりぐりと頭をすりつけたあと、俺の顔を覗く目はうるうるしてて。

照れる、じゃなくて、泣きそうの間違いやろ。

そうからかおうとしたときに、電気ケトルの呼び出し音。

「あ、沸騰した」

そう言ってそそくさと腕からすり抜けるAをつかまえてもう一度。

『好き』

私も、って言葉を待つ数秒間、ついに溢れた彼女の嬉し涙を指で掬った。

story7￤言葉￤Tomohiro.K -fin-
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