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「やっぱりおいしい！」
奥さんが運んできてくれたオムライスをもぐもぐしてるAを前に、緩みそうな頬をひきしめるのに必死。
こんな可愛かったっけ？
少し落ち着いた色になった髪とは反対に無邪気な顔を見せてくるの、心臓に悪すぎ。
『ちょっとちょうだい？』
平常心を保ちながらオムライスを指差すと、お皿がこっちに寄せられる。
「だいちゃんのも！」
『ん、ええよ』
お皿を彼女に近づけると、大きい口を開けて一口。
だいちゃんのもおいしいね、っていつも俺のやつも勝手に食べてたやんけ。
けど、そんなん言うて小競り合いになりたくないから。
『せやな。オムライスも美味いわ』
なんて少し大人な返しをしてみる。
意外としょーもないことで喧嘩するからな、俺ら(笑)
「だいちゃん、次どこ行くん？」
スプーンで器用に残りの卵とご飯を集めながらAが言う。
『んー？どこでもええけど』
「そしたらさ、公園行かん？昔よくお花見してたところ」
『ふは、ボート乗っちゃう？』
今手漕ぎのやつなくなったから、よく見る白鳥のやつやけど。
いい大人が乗っても、ああいうのっておもろいから不思議よな。
まぁ、乗らんって言うやろ。
「乗る！久しぶり尽くしだなぁ、今日は」
…冗談のつもりだったけど、ノッてきた彼女の要望に応えよう。
なんてったって、今日はAの地元凱旋ツアーやから(笑)
『あそこのアイス屋まだあるんかな？』
ふと思い出された、公園の端っこにある、小さい売店で売られていたソフトクリーム。
「あったら食べたい」
『せやな。ミックスやろ？』
「え、何でそんなことまで覚えてるん？」
その質問はいい感じにはぐらかしたけど、まぁ、ね？
そりゃあ好きな子のことやしな？
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作者名：yun. | 作成日時：2020年10月30日 18時
