僕が君の為に笑おう《JW》 (ページ4)

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○ ページ4

洋食屋に入ると、すぐに店主とその奥さんが迎え入れてくれた。

“Aちゃん、おかえりなさい”という言葉を添えて。

「ふふ、お久しぶりです」

よく座っていた大きめの窓から陽が差す席はたまたま空いている。

当たり前のようにそこに案内してくれた奥さんに感謝して席につく。

「何にしようかなぁ」

『え、決まってるんちゃうの？(笑)』

いつもオムライス頼んでたやん。

心の中でそうつっこむと、バレた？とおどけた表情を見せるA。

その顔好きやなぁ、とか思いながら注文をすると、運ばれてくるアイスコーヒーと紅茶。

『…まだコーヒー飲めへんの？』

「うん…え、バカにしてるん？」

『少し？』

ほんまは嘘。

ちゃんと、俺が知ってるAが残ってて安心しただけ。

東京っていうだけで少し“遠くの人”になってしまった感じがするのに

さらに大人びてしまったら俺のところから離れるんじゃないかって。

らしくないけど、たまに不安になるんよ。

別に、浮気するんちゃうかとかは思わんけど…

でも、見えるところにおらんってこういことよな。

束縛しないのが俺の良さだと思ってたのにな。

「なんか幸せ…」

『さっきから“なんかいい”とか、“なんか幸せ”とかなんなん？(笑)』

「えー？だいちゃんに会えて、家族に会えて。

…それだけで幸せなのに、地元の人に“おかえり”って言ってもらえることが幸せだなぁって」

会えて幸せ、か。

せやな、会えない時間が愛を増す…とか誰か言うてたっけ？

「何にやにやしてるの？怖いんだけど(笑)」

『んー？なんかええなぁって』

「だいちゃんも“なんか”って言ってるじゃんか。

…あ、私に会えてそんなに嬉しいか！」

『ちょ、やめろ！』

何で外で頭なでるねん、普通逆やろ。

“相変わらず仲良いわねぇ”

奥さんにも見られたし、恥ず。