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『かんぱーい』
着いた居酒屋で乾杯して、いつもより心なしか眉毛が下がり気味なAを見つめる。
「何かついてる？」
『ついてないけど…そろそろ話してくれてもええかなぁって』
あ、もっと眉毛下がった。
「いや、ちょっとしたことなんだけどね？」
話を聞いてみると、
「最近やけに難しい仕事が回ってくる」
「最初は期待されてると思えてたけど、そろそろしんどくなってきた」
要約するとこんな感じ。
まぁ、期待されてるのは間違いないと思うけど。
『んで、それを一人で耐えてた、ということでいい？』
「だって、のんちゃんも、忙し…から…」
あーあー、泣いてもうた…俺だってこんな言い方したないけどさぁ。
『だって、何かあったら相談し合おうなって約束したもん』
拗ねてしまう俺もまだ子どもだよなぁ、少し反省。
『のんちゃんって呼んでくるあたり、もう結構限界やったんちゃうの？』
ぐすぐす鼻を鳴らすAの頭を撫でると、声にならない声で唸るから、心配よ、のんちゃん…あ！
『Aから助け求められへんのやったら、一緒に住む？』
「…はぇ？」
ふふ、間抜けな声、かわいい。
『意地っ張りなAちゃんは俺が監視しないとなぁって』
「…いいの？」
『へ？』
これは予想外。まだしないって言うと思ったのに。
「前から、のんちゃんとおんなじ家、帰りたいなぁって…」
『何で言うてくれへんの〜、大歓迎なのに！』
そうと決まれば、食器はお揃いにするとか、家具はどうするとか…気早すぎ？
けど、Aが楽しそうやからええわ。
お酒も入って、いい具合にほわほわしとる。
お勘定を済ませて外に出ると、肩を震わせてしまうほどの強い風。
『…明後日休みやんな？物件見に行こか』
「うん、楽しみにしてる」
また明後日会えるから、明日Aが元気に乗り切れますように。
そんな願いを込めて、繋いだ手をポケットにしまった。
story4��風��Nozomu.K -fin-
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作者名：yun. | 作成日時：2020年10月30日 18時
