僕が君の為に笑おう《JW》 (ページ20)

今日:20 hit、昨日:3 hit、合計:27,616 hit

story4￤風￤Nozomu.K ページ20

「おまたせ」

『ん、ええよ。おはよ』

走ってきたのか、少し乱れている前髪を直してあげると、照れたように笑うA。

ついでにマフラーも少しだけきつく巻き直す。

うん、かわいい。

『ほな行こか』

大学で知り合って、2年生に上がる春に告白。

そこから付き合って、もうすぐ卒業なんやから…ほんまに早いよな。

ゼミも一緒やから、今から卒論指導。

まぁ、もう大詰めやし、二人してきちんと計画通りやってたから、ほぼ教授との雑談やけど(笑)

『いやぁ、ほんま寒い…』

「相変わらず寒がり(笑)」

…笑いながら手差し出してくるって、全男が憧れるシチュエーションちゃう？

…え、そんなことない？(笑)

『ふふ、ありがと』

まぁ、ありがたく繋がせて頂いて、15分くらいの道のりを歩く。

「あと何回かなぁ、こうやって望と歩くの」

確かに就職先は別やけど、お互いこの地から離れる気はない。

…から、まぁ会えるとは思うんやけど。

それでも不安よな、たまに寂しそうに眉毛を下げるAが心配になる。

何も言えない自分の情けなさを嘲笑うかのように、ふわっとした風が前髪をくすぐった。