6. 王子様 ページ6
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そう言って差し出されたのは、私がさっき行こうと思っていたカフェのカップで・・・
「少し時間が経ったから冷めちゃったかもしれないけど・・・あなたに、って。」
「え?これ・・・」
カップの側面に豆乳のシールが貼ってあるカップを見て、胸がドキンと鳴った。
ゆっくりと口をつけると、まだほのかに暖かいそれは、紛れもないソイラテで・・・
しかも、エスプレッソが多め、だ。
「これ、って・・・」
もう一度そう聞いた私に、先生はフフッと笑って、
「王子様が、お見舞いだって(笑)」
そう言ったきり、誰からかは教えてくれなかった。
先生にお礼を言って、医務室を後にする。
エレベータに乗り込んで、ふと手の中に納まっているカップに目を向ける。
『私がソイラテ・・・しかもエスプレッソ追加が好き、だなんて知ってると言えば・・・』
考えられるのはふたりしかいない。
一人はサキちゃん。
スウェーデンでもいつもそのオーダーをするから、最近じゃ何も言わなくても「いつもの?」って言われてそれが出てくるっていう話をしたばかりだからだ。
だけど・・・
「王子様、って・・・言ってたよなあ・・・」
そうなると、残りは彼しかいない。
「まだ・・・覚えててくれたんだ・・・」
懐かしい記憶のなかからそれを思い出していると、チンという音とともにエレベーターが開いて、
「あ・・・」
乗り込んできたのは、ノートPC片手に、スマホを握り締めた櫻井さんだった。
「・・・本当に、びっくりするほどよくお会いしますね。」
「おお。俺もさすがにビビるわ。」
そう言って苦笑いした櫻井さんに、言わなきゃいけないことを思い出した。
「あ・・・コーヒー・・・ありがとうございます。」
手に持ったカップを持ち上げて、お礼を言う。
「ああ。どういたしまして。眠いつってたから、自分の買ったついでにおまえんとこ届けてやろうと思ったら、医務室行ったっつーからびっくりしたよ。」
「時差ぼけ・・・なったことないんですけど、今回はなんでか・・・」
そう言って首をかしげる私に、
「ま、あんまりムリすんなよ?」
って優しく微笑んだ櫻井さんは、
「ああ、そういえば・・・おまえ、携帯とかどうしてんの?」
って、言った。
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ゆん*(プロフ) - ぴーまんさん» そう!あっちこっちにふらふらり。そんな優柔不断な子が描きやすいんです(笑)Jの攻めにご期待くださーい! (2014年9月3日 23時) (レス) id: ef176538c5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん(プロフ) - ゆん*さん» ほんとだぁ~恋愛マスターみたい(笑)ゆんさんの描く主人公ちゃんって、結構フラフラしてますよね?(笑)キライじゃないです~(笑)潤くんの攻めに期待大です~o(^o^)o (2014年8月31日 19時) (レス) id: e9e2051c7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆん*(プロフ) - ぴーまんさん» 攻めて、引いて、どう出てくるのか・・・どうぞお楽しみに☆ (2014年8月31日 14時) (レス) id: 6cd285a405 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん*(プロフ) - ばにらさん» 満喫していただいてるようで嬉しいです♪第2章もどうぞよろしくでーっす! (2014年8月31日 14時) (レス) id: 6cd285a405 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん(プロフ) - 潤くんハピバ~o(^o^)o豹変潤くん攻めますね~♪ (2014年8月30日 20時) (レス) id: e9e2051c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆん* | 作成日時:2014年8月27日 23時