34. 幻聴 ページ34
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結局、駅に着くまで私の手を離さなかった松本くんは、
“俺に落ちるのが怖いの?”
っていう変な脅し文句を振りかざして、私から連絡先を奪った後、
「じゃあ、明日からもよろしくね?月野先輩(笑)」
そう言って、反対方向のホームに続く階段を下りていった。
なんだ、食事に行こうとか誘われるかと思ってたのに・・・
「ハッ!私ったら、何を・・・」
今日の今日ですっかり影響を受けまくっている自分に呆れる。
そんな自分の頬をぺちぺちと叩いた私は、松本くんとは反対のホームへと続く階段を下りて、向かいのホームに目を向ける。
すると、電車は行ったばかりなのに、松本くんはまだホームに残ったまま、誰かに電話をかけていた。
なあに?楽しそうな顔しちゃって。
その無邪気そうな笑顔を見て、あのときの彼女かな?なんて思いながら、松本くんから遠ざかるように、ホームの端へと歩き出す。
ああ、なんだかいろいろありすぎて、疲れた・・・
時計を見ると、まだ19時。
「おなか空いたなー・・・今日は何食べよ・・・」
日本に来てからほぼ1ヶ月。
最初の頃は、ミーケルとふたり、もしくは、ミーケルと同僚数名とで夕飯を食べることも多かったんだけど、
最近はミーケルも同僚に誘われてご飯に行くことも増えてきて、毎日一緒と言うわけじゃないから、
気が向いたものを気が向いた場所で食べたりしてる。
そんなことを考えながら、
「っていうか、疲れた・・・」
思わずそうつぶやくと、
「じゃあ、おいしいものでも食べに行こうよ。」
さっきまで散々聞いていた声が耳元から聞こえてきて、思わず幻聴かと思った。
「フッ・・・やっぱり疲れてる・・・」
線路を見つめながら、乾いた笑いをこぼしていたら、
「え?まさかのシカト?(笑)」
そう、はっきりと言われて、声がする方向に顔を向けると、そこにいたのは、さっき別れたはずの松本くんだった。
「え・・・?さっき、あっちの・・・」
ホームにいたよね?って言おうとした私の言葉は、
「やっぱまだ一緒にいたいな、と思って。」
っていう松本くんの言葉でかき消されて、
さっきと同じように手をつながれた私は、手を引かれるままに、ホームに入ってきた電車に乗り込んだ。
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ゆん*(プロフ) - ぴーまんさん» そう!あっちこっちにふらふらり。そんな優柔不断な子が描きやすいんです(笑)Jの攻めにご期待くださーい! (2014年9月3日 23時) (レス) id: ef176538c5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん(プロフ) - ゆん*さん» ほんとだぁ~恋愛マスターみたい(笑)ゆんさんの描く主人公ちゃんって、結構フラフラしてますよね?(笑)キライじゃないです~(笑)潤くんの攻めに期待大です~o(^o^)o (2014年8月31日 19時) (レス) id: e9e2051c7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆん*(プロフ) - ぴーまんさん» 攻めて、引いて、どう出てくるのか・・・どうぞお楽しみに☆ (2014年8月31日 14時) (レス) id: 6cd285a405 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん*(プロフ) - ばにらさん» 満喫していただいてるようで嬉しいです♪第2章もどうぞよろしくでーっす! (2014年8月31日 14時) (レス) id: 6cd285a405 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん(プロフ) - 潤くんハピバ~o(^o^)o豹変潤くん攻めますね~♪ (2014年8月30日 20時) (レス) id: e9e2051c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆん* | 作成日時:2014年8月27日 23時