32. なかったこと ページ32
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あまりにも軽く言われて、ちょっと言葉に詰まる。
「それだけ、って・・・」
「え?ダメ?」
すっかりタメ口になっている松本くんを見上げて抗議をすると、
「まあ・・・あんまり子供扱いされて腹が立ったっていうのもあるけど・・・」
そう言って、口を尖らせた。
「フッ。そんな顔して・・・子供みたいじゃない(笑)もー、今朝のことはなかったことにしてあげるから、もう拗ねてあんなことしちゃ、ダメだよ?(笑)」
これで、
『うまく“なかったこと”にできるかな・・・』
そう思ってたのに、
「フッ。なに、それ?なかったことにしようとしてんの?」
って口角を上げてフッと笑った松本くんは、
「なかったことになんか・・・させるわけ、ねーじゃん。」
そう言って私の手首を掴んで、ぐっと横道に引っ張り込むと、
帰宅のサラリーマンたちが無言で歩いている、駅までのメインストリートとは違って、
ほとんど人通りのなくなったその道にポツンと佇む自動販売機の横に私を押し付けて、
「今朝言ったこと、覚えてる?」
片方の手を、逃げ道をさえぎるように自動販売機に突いた彼は、
「今度は目ぇ閉じろよ?」
そう言って、朝と違って少し乱暴に、荒々しく、私の唇に噛み付いた。
ちょ、っと・・・
掴まれてないほうの手で松本くんの胸を押し返そうとするけれど、
身体が華奢そうに見えるわりに、彼はちっともびくともしない。
どうしよう・・・
そう思ったのもつかの間で、口元が緩んだ隙を見計らって、彼の舌が口内に侵入してくると、
“かわいい松本くん”からは想像できないような、アグレッシブなオトナのキスが気持ちよくって、
私はゆっくりと目を閉じた。
それでも、受け入れたわけじゃない。
だから、自分からは舌を迎えに行くこともせず、ただ、少しの間、されるがままになっていたけれど、
やっぱりダメだ。
そう思った私は、今度はさっきよりも力を入れて、彼の身体をぐっと押し返した。
すると、はっきりとした抵抗を感じたのか、松本くんはゆっくりと唇を離して、
「・・・なに?」
かわいいとか、子供っぽいとか・・・そんな言葉が全然似合わないような、不機嫌な顔で私を見た。
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ゆん*(プロフ) - ぴーまんさん» そう!あっちこっちにふらふらり。そんな優柔不断な子が描きやすいんです(笑)Jの攻めにご期待くださーい! (2014年9月3日 23時) (レス) id: ef176538c5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん(プロフ) - ゆん*さん» ほんとだぁ~恋愛マスターみたい(笑)ゆんさんの描く主人公ちゃんって、結構フラフラしてますよね?(笑)キライじゃないです~(笑)潤くんの攻めに期待大です~o(^o^)o (2014年8月31日 19時) (レス) id: e9e2051c7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆん*(プロフ) - ぴーまんさん» 攻めて、引いて、どう出てくるのか・・・どうぞお楽しみに☆ (2014年8月31日 14時) (レス) id: 6cd285a405 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん*(プロフ) - ばにらさん» 満喫していただいてるようで嬉しいです♪第2章もどうぞよろしくでーっす! (2014年8月31日 14時) (レス) id: 6cd285a405 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん(プロフ) - 潤くんハピバ~o(^o^)o豹変潤くん攻めますね~♪ (2014年8月30日 20時) (レス) id: e9e2051c7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆん* | 作成日時:2014年8月27日 23時