検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:515,696 hit

4. 営業部 ページ4

.



私がこの会社に勤め始めてから、あっという間に8年が経った。


大学でプロダクトデザインを専攻していた私は、念願叶って、家具や食器をメインに扱うこの会社に就職したものの、


「まずは営業で経験を積みなさい。」


と、その頃の私には到底理解できない条件を突きつけられて、営業部に配属された。


デザインに営業経験とか必要あるの?


こんなところで時間を無駄にしたくない。


口には出さなくても、毎日心の中でそんな疑問を唱えていた私に、


チューターとしてついてくれていたひとつ上の先輩が、ある日、一緒に営業先を回った帰りに言った。


「私、なんでこんなことしてんだろ・・・って、思ってんだろ(笑)」


整った顔で、だけど、冷たい口調でそう言った先輩に、図星をつかれて、私は返す言葉がなかった。


「いえ・・・そんなこと・・・」


「ウソつけ(笑)おまえの考えてることなんて、ぜーんぶお見通しなんだよ(笑)」


「・・・」


「私がやりたいのはデザインなのにー。こんなとこでおっさん相手にニコニコお世辞言ってる場合じゃないのにー、って?(笑)」


「・・・」


そして、言葉が出なくてうつむくだけの私に、その先輩は聞いた。


「おまえはさあ・・・誰かに使ってもらえるものが作りたいの?それとも自分のためだけに作りたいの?」


「それは・・・みんなに使ってもらえるものが作りたいに、決まってるじゃないですか!」


「だよなあ?(笑)」


「はい・・・」


「じゃあ・・・市場でどんなものが求められてるかも分からなくて、みんなに使ってもらえるものって作れんの?」


そう言われて、まるで頭をトンカチで殴られたかのような衝撃を受けた。


そんな私の顔を見て、先輩はまたフッと笑う。


「私と同じ感性の人だけに使ってもらえればいいんです・・・って、それはもう職人だよな?でも、おまえは職人になりたいわけじゃないんだろ?」


「・・・」


「プロダクトデザイナーになりたいんだよな?そのための市場調査みたいなもんだとは・・・思わなかったわけ?」


そんなこと、考えたことなんてなかった。



.

5. 懐かしい夢→←3. 大事な相棒



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (598 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
838人がお気に入り
設定タグ:松本潤 , , ゆん*   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

ゆん*(プロフ) - ぴーまんさん» そう!あっちこっちにふらふらり。そんな優柔不断な子が描きやすいんです(笑)Jの攻めにご期待くださーい! (2014年9月3日 23時) (レス) id: ef176538c5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん(プロフ) - ゆん*さん» ほんとだぁ~恋愛マスターみたい(笑)ゆんさんの描く主人公ちゃんって、結構フラフラしてますよね?(笑)キライじゃないです~(笑)潤くんの攻めに期待大です~o(^o^)o (2014年8月31日 19時) (レス) id: e9e2051c7a (このIDを非表示/違反報告)
ゆん*(プロフ) - ぴーまんさん» 攻めて、引いて、どう出てくるのか・・・どうぞお楽しみに☆ (2014年8月31日 14時) (レス) id: 6cd285a405 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん*(プロフ) - ばにらさん» 満喫していただいてるようで嬉しいです♪第2章もどうぞよろしくでーっす! (2014年8月31日 14時) (レス) id: 6cd285a405 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーまん(プロフ) - 潤くんハピバ~o(^o^)o豹変潤くん攻めますね~♪ (2014年8月30日 20時) (レス) id: e9e2051c7a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆん* | 作成日時:2014年8月27日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。