【Jun】 いつのまにか 《0830*BD》

17. お兄ちゃん ページ17

.



話を聞き終わった櫻井さんは、


「ふうん。」


あんまり興味のなさそうな顔をして、ヒトコトだけ、そう言った。


「ふうん、って！私、“カンベンしてよ”って･･･ちょっとショックだったんですから(苦笑)」


「俺じゃなくてあいつに言えよ(笑)」


「･･･もういいですよ。元々そんなに接点ないし･･･謝ったから、もういいんです！」


「ふうん。」


「もーー！櫻井さん、なんかキャラクター変わってません？昔は･･･かっこよくて優しくて、でも、時には厳しいお兄ちゃんみたいだったのに！」


「変わってねえよ(笑)俺はいつでもおまえのことをかわいい妹だと思ってるよ(笑)だから･･･困ったことがあったら、いつでも頼って来いよ？」


そう言ってにっこりと微笑んだ櫻井さんは、私の知ってる櫻井さんだった。


それから、話はお互いの恋愛の話になる。


櫻井さんとは、昔から恋愛の話をすることが多々あって、私の中では本当にお兄ちゃんのような存在だ。


櫻井さんは、モテる。


バカじゃないの？っていうくらい、モテる。


だけど、だからと言って、だれかれかまわずと言うわけでもなくて、意外とまじめだったりする(笑)


「で？今、彼女は？」


「いない。」


「･･･またフラれたんですか？(笑)」


「･･･俺の話はいいっつの。おまえは？」


「･･･」


「なんだよ(笑)言えよ(笑)」


「･･･明日スウェーデンから来る同僚に、フラれたばっかです。」


そう。


職場恋愛とはいえセクションが違った私たちが、何の因果か急遽同じプロジェクトになり、


しかも、彼も同じく2ヶ月日本に滞在･･･もちろん日本語が分からない彼の面倒を見るのは、私。


元彼と、なにが悲しくてこんなにベッタリしてなきゃならないの？


神様って、いないの？


そんなことを考えてしまうのは、私の気持ちがまだ彼に残ってるから･･･


「マジか(笑)付き合ってたの？」


「2年間同棲してました(苦笑)」


「なんでフラれたんだよ(笑)」


クククッって、楽しそうに笑う先輩が憎たらしい(笑)


「職場に新しく入ってきたオトナの女性に･･･心奪われちゃったんですって(苦笑)」


なんだ、それ？(笑)って笑う櫻井さんに、ホントですよ、って言いながらも、私は泣きたい気持ちになった。



.

18. ダメだ→←16. 期待のエース

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す