幼なじみ？腐れ縁の間違いです (ページ49)

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塩４８ページ49

・ユンギside

あいつと別れてから、８年は経った

ソウルでは俺なんてひよっこで、先輩たちが眩しくて仕方がなかった

卒業式の時は、あんなにカッコつけたのにだせぇな

僻んだりもした

辛い時もあった

逃げ出したくなる時もあった

そういう時は、あいつの写真を見て心のよりどころにしたんだ

もうすぐアラサー

俺も一人前になれたなら

あいつに会いに行きたい

初めてのミックステープと一輪のバラを持って、大邱に向かったんだ

視界が暗転して、体に強い衝撃があったとき

何が起こっているのかわからなかった

考えたのは、あぁバラが潰れる、とかくだらないこと

意識がブラックアウトしてからは、何もわからなかった

うつらうつらしていた夢の中で聞こえたのは、あいつの泣き声

滅多に泣かないやつなのに

涙をぬぐってやりたいのに手が動かないんだ

『置いてかないでって・・・・』

あぁ、置いてかねぇよ

ていうかお前、やっと人の気持ち理解したか

なら・・いい気味だ

やっと出した声は、かすれていて弱々しかった

なのに、あいつはしっかり聞き取ったみたいだ

ははっ

目ん玉が零れ落ちそうなくらい見開いている

『ユン・・・ギっ？！ユンギ、起きた！』

幼児並みの喋り方で、俺に縋りついてきた

久しぶりに見たAは変わっていなくて、化粧するようになったみたいだ

小さい手で、細い腕でしがみついてくるこいつが、たまらなく愛おしかった

『置いてかないでって・・・いったのにさぁ・・・！勝手に来るし、私、ずっと待ってたんだよ！』

泣きながら叫んでいる

Aの叫び声で一気に家族がなだれ込んできた

「えぇっ！！ヒョンが起きてる！！！！」

「うわぁぁ！！！！」

騒がしい

ほんとに

思わず笑みが漏れた