塩46 ページ47
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今日は、不穏な天気だった
風が吹いて、木々がざわめいている
起きてご飯食べて薄く化粧して、仕事にとりかかる
嫌な夢を見たからだろうか
いつもと違う感じがする
眉を寄せつつも、仕事に集中した
予感が当たったのは、午後の2時
prrrr prrrr prrrr
スマホの着信音が響いて、何気なく手に取った
「あ、もしもし?!Aちゃん?!!」
___おばさんの声がした
動悸がする
冷や汗がつーっとおでこを流れた
「ユンギがっ!ユンギが、ここに来る途中に交通事故に遭ってっ…!!今病院に!!」
「花とCDを持ってたって…!」
ユンギが?
病院?
なんで大邱に来たの?
交通事故?
____花と・・・CD?
おばさんが何やら叫んでいるけれど、もう耳に入らなかった
心臓に冷たいナイフを刺しこまれたようだ
疑問と恐怖と、感情がごちゃ混ぜになってぐるぐると回っている
『…病院の場所は』
やっとの思いで出した声は、ひどく乾いていて落ち着いていた
自分の物とは思えない低くかすれた声
「〇〇の〇〇〇で、〇〇〇よ!」
場所を聞き取った瞬間、通話を切った
早く
早く
行かないと
運転免許を取っておいて良かった
車のキーをひっつかんで家の鍵も閉めずに外に出た
丸まっちい軽自動車を駆って、スピードを限界まで出しながらひたすらに走る
頭の中はユンギで埋め尽くされている
あいつは_____なんで
私は、なんで彼が大邱に来たのかを知っている
なんで花とCDなんて持っていたのかを知っている
音楽も、神様も、大嫌いだ
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作者名:ゆぅり | 作成日時:2021年10月25日 19時