幼なじみ？腐れ縁の間違いです (ページ29)

今日:7 hit、昨日:10 hit、合計:87,596 hit

塩２８ページ29

ユンギside

昔

俺とAがまだ、１０にも満たなかった歳の時の話

Aと俺の二人だけで、こっそり小学校を抜け出した

なんでそんなことになったのかというと＿＿＿

休み時間、俺らは同じクラスでいつもみたいに喋っていた

『あ、ねーねーゆんぎ』

YG「なに？」

『わたしね、図書室でおもしろい本かりたんだよ！』

そう言って、Aが見せてきた本は妙に分厚かった

YG「なに？それ」

『あのねぇ、しゅじんこうの女の子とともだちの子が、こっそり二人でおでかけするの』

YG「へー」

俺は興味なさげに相槌を打ったが、Aは気にも留めていなかった

『それでね、いろんなところでぼうけんして、おいしいものたくさん食べるんだよ』

きらきらと、Aの顔が輝いている

嫌な予感がした

『わたしたちも、ぼうけんしにいこーよ！』

いうと思った。

YG「いまから？がっこうだよ‥」

『おもいたったらすぐ、ていうじゃん』

どこから知ったのか、難しげな言葉を使うA

YG「‥‥しょうがねえな」

渋々、といったふうに了承したが本当は俺も内心わくわくしていた

だって、「ぼうけん」なんていかにも男子が好きそうな言葉じゃないか

『よーしきまり！じゃあ今からいこう！！』

安易に二人で外に出た

平日の昼、一時

幼い子供二人だけででかけた

今でも覚えているし、後悔している

『ゆんぎっ！！』

叫んだA

落ちる小さなからだ

はためく白いワンピースの裾

なびく長い髪

なにがおこっているのかわからない

俺を庇って

Aが湖に落ちた

近くに大きな湖のある場所があって

平日だから人もいなくて

嬉しくて、調子に乗った俺はAと湖の縁をぎりぎりのところで眺めていた

見れば見るほど深くて

じいっと見つめているせいで、すごい勢いでこちら目がけて飛んでくる鳥に気づかなかった

後から知ったけど、あの小鳥は鷹に追いかけられていたらしい

鳥に驚いて、バランスを崩した俺は、とっさに「落ちる」と確信した

そのとき

『ゆんぎっ！！』

すぐ傍にいたAが、俺を突き飛ばした

ばしゃんっ

躊躇なくAは水に飛び込んだ

抵抗せず、もがきもせず、水の底へ吸い込まれていくA

勢いよく飛ばされて、尻餅をついていた俺は茫然としていた

YG「‥‥A‥？」

返事は、なかった

次の瞬間、俺は半狂乱になりながら湖に飛び込んだ