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「弘樹、聞こえるか？」
私がそう問いかけると、息の弾んだ彼の声が耳へ届いた。はい、と短く返事をする彼に私はこう告げる。
いいか、弘樹。お前は今から2階へ行くんだ、そして自分の部屋に入って窓を全開にしろ。
部屋のドアは開けたままでいい。
後は私が何とかしよう。
取り敢えずお前は2階へ素早く逃げることだけを考えろ。きっとお前の父親はお前を追いかけて来るだろうからな。
怯まずに、真っ直ぐ進め。絶対に私が助けてやるから。
伝え終わると彼は鼻を啜り、はい、とまた返事をした。私も急いで2階に上がる。
自分の部屋の窓を全開にした所で、ガチャンと彼の部屋のドアが開くのが分かった。
一目散に窓側へ走り、彼は窓を全開に開ける。
それと同時に、彼の父親が部屋へ飛び込んできた。
「弘樹、離れろ！」
私は大声を出し、彼を窓の側から離れさせる。
少し助走を付けて私は弘樹の部屋へ飛び込んだ。足を彼の父親の鳩尾に向けて蹴り込む。
運良く命中し、彼の父親は床に倒れ込んだ。
ゲホッゲホッと咳き込むソイツを、私は全身で捕まえる。
「弘樹！早く警察を呼ぶんだ。番号は分かるな？」
恐怖と涙でぐちゃぐちゃになった顔で、弘樹は警察に電話をした。すぐに家に来てくれるようにと自分の意見をはっきり言っている。
それから5分後、思ったより早く警察は来てくれた。彼の父親が暴れ回ったりして、少し私も怪我をしたが後は警察が全てやってくれ、彼の父親は逮捕された。
「君、大丈夫かい！？どうしてあの時本当の事を言ってくれなかったんだ！？」
話し方からして、この警察官はこの前弘樹の家に来た奴だろう。
何を今更言っているんだ、人が苦しんでいるのにも気付けずに帰ったお前がよく言う。
私は弘樹の前に出て、こう言い放つ。
「言い難いという事もあるでしょう、そもそも彼が苦しんでいるのに気付けなかった貴方がそれを言うんですか？･･･馬鹿げている。」
するとその警察官は押し黙り、弘樹にすまなかったと謝った。それが人に対して謝る態度か、と少々怒りを覚えたが弘樹に宥められてしまったので必死に心の中にしまい込んだ。
「･･･ありがとう、Aさん。本当に貴方のおかげです。言葉なんかじゃ足りないぐらいAさんに幸せを沢山貰いました。そしてこんな日が来るなんて思ってもなくて、」
そう言うと、彼は大粒の涙を零した。
私は彼をぎゅっと抱きしめる。
本当に辛かったな、頑張ったな。
私は彼が泣き止むまでずっと抱きしめていた。
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優桃(プロフ) - ゆーなさん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言って頂けると頑張ろうって思えます(*^^*)これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2018年1月21日 21時) (
レス) id: a4872d24e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - 面白かったです！お気に入り登録しときました！これからも頑張ってください！ (2018年1月21日 21時) (レス) id: 9e3b82e97b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優桃 | 作成日時：2018年1月21日 21時
