やっぱり俺は ページ13
「軽蔑したか？」
制服に腕を通しながら、優誠は俯いたままそう呟いた。
俺は小さくため息をつく。すると優誠はビクッと体を強ばらせた。違う、そういう意味のため息じゃないんだ。
「軽蔑なんてしない、俺が良いって言ったんだからどっちもどっちだろ？そんな暗い顔すんなってば。」
もしかして後悔してる？と俺が聞くと、優誠はそんな事ないと首を横に振った。むしろ俺の心配をしているようだ。
少し心に穴が空いたような感じはするが、別に俺は大丈夫だった。
「最初からAの事好きになれば良かったのかなぁ。」
優誠はソファにだらしなく座り、誰に言うでもなくそう言った。
俺だって、さっきそんな事を考えていた。
でも、やっぱり違うんだ。
顔は似ていても性格は違う、口調も違う、笑顔の作り方も違う。
人にはそれぞれ個性がある。双子は双子でも、1人1人に違った個性があるんだ。
全く同じの人間なんて居ないだろう？だから俺は優誠でなく、宏誠の方に惹かれたんだ。
「まぁそれは俺も思ったけど･･･同じ顔でも、全然違うもんな。お前も良く分かってるだろ？」
相手の何処を好きになったのか。
そう言うと、優誠は困った様に笑った。
そんな彼の顔を見て俺も笑う。
きっと交わる事はないであろう、俺と優誠の恋。どうしてアイツを好きになってしまったんだと自問自答を繰り返す日もあったし、あぁ好きだなと相手を愛おしく想う日もあった。
だけど俺は後悔はしていない。
それはきっと、優誠も同じだろう。
「もうそろそろ授業終わるな･･･」
優誠が未だに現役の図書室の時計を見ながらそう言った。
「そうだな、そろそろ戻るか？」
ちょうど、アイツの顔を見たくなってきた所だった。戻ろうか、と優誠の差し出した手を取り俺達は旧校舎を後にした。
今日ここであった事は俺達だけの秘密。
授業終わりのチャイムが鳴り、先生と入れ違いに俺達2人は教室に入る。
すると、俺達にとって愛しい人が名前を呼びながら決まってこっちに向かってくる。
「あ〜、Aと優誠サボり？誘ってくれたら良かったのによ〜」
「そうだぞ、さっきなんか分からない問題当てられて俺ピンチだったんだからな〜？」
あぁ、やっぱりお前らと居ると落ち着く。
本当、好きだなぁ。
「ん？どうしたんだよ、お前らニヤニヤして。何かあったのか？」
宏誠と雅樹が頭に？マークを浮かべている。そんな彼らを見て俺と優誠はプッと吹き出した。
幸せだな、と思いながら。
『双子の憂鬱』END
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優桃(プロフ) - ゆーなさん» 初めまして、コメントありがとうございます。そう言って頂けると頑張ろうって思えます(*^^*)これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2018年1月21日 21時) (
レス) id: a4872d24e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - 面白かったです！お気に入り登録しときました！これからも頑張ってください！ (2018年1月21日 21時) (レス) id: 9e3b82e97b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優桃 | 作成日時：2018年1月21日 21時
