34話 ページ36
史人side
今日はテストの返却日。
この学校では全ての教科のテストを担任から返す事になっている。
「は〜い、じゃあテスト返すよ。」
教卓の前に立ち、採点済みのテスト用紙が入っている大きな封筒を生徒に見せる。
皆は「え〜」とか、「いらねー！」とか各々口にしていた。
「こらこら、静かにしてね。じゃあ返すよ〜･･･相浦。」
出席番号が1番の相浦から、僕は皆にテストを返し始めた。
「ん、」
「はい、相浦よく頑張ったね。」
僕はそう言って相浦に笑いかける。
すると相浦は目をまんまるくして、テスト用紙を奪い黙って席に戻ってしまった。
少し顔が赤く見えた気がしたけど、気の所為かもしれない。
テストを皆に返し終わり、皆の点数事情を微笑ましく聞き眺めていた。
え？相浦の点数？
うん、凄く良かったよ。
五教科だけ殆どが80以上あったし、やれば出来る子って僕は知ってるからね。
これで約束も･･･って、なんだか急に顔が熱くなってきた。
僕がパタパタと顔を手であおいでいると、相浦が僕の近くにやって来た。
他の生徒達は皆おしゃべりに夢中で僕達の事なんか気にもかけていないようだ。
「どうしたの？相浦。」
僕がそう言うと、相浦は黙って五教科のテストを僕に見せた。
知ってるよ、頑張ってたの。
僕が1番知ってる。
「ん、これ･･･五教科全部80以上取った。今まで取ったことない点数。」
「うん、知ってる。･･･よく頑張ったね相浦。やれば出来るんだからこれからも続けてこ？」
僕がそう言うと、相浦はいきなり僕の顎に触れて顔を近付けた。
僕はビックリしてそのまま硬直してしまった。
幸い生徒達はおしゃべりに夢中すぎてこっちなんて見向きもしていない。
「せんせー･･･約束覚えてるよな？」
そう言って相浦は僕の目を真っ直ぐ見つめる。
逸らそうにも逸らせなくて僕も真っ直ぐ見つめ返した。
「お、覚えてるよ。･･･だから手離して、ここ教室だし皆居るから･･･」
よからぬ噂が立ちそうで、僕はそっと相浦の手を顎から離す。
僕は鼓動が早くなったまま相浦から目を逸らした。顔は多分･･･赤くなってると思う。
「ごめん、じゃあ今日行ってもいいよな。」
「･･･適わないなぁ。」
「ん？何か言った？･･･せんせー、」
僕はにこっと微笑んで、
「なんでもないよ。」
と相浦の頭をポンポンと撫でた。
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優桃(プロフ) - 綾さん» 初めまして、コメントありがとうございます。こちらこそ、読んでくださって嬉しい限りです(*^_^*)これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします。 (2017年9月17日 11時) (
レス) id: ac3cfbc466 (このIDを非表示/違反報告)
綾 - とてもおもしろかったです。素敵なお話ありがとうございます！更新頑張ってください！ (2017年9月14日 21時) (レス) id: 9b5a4fb179 (このIDを非表示/違反報告)
優桃(プロフ) - あんみつクラゲさん» わざわざ読んでくださり、コメントまで本当に嬉しいです。ありがとうございます(*^^*)更新頑張ります！ (2017年8月22日 17時) (レス) id: 18d71c1466 (このIDを非表示/違反報告)
あんみつクラゲ(プロフ) - イベントご参加ありがとうございます。とても素敵なお話でした(*‘ω‘ *) 評価の方もさせていただきました。これからも更新頑張ってくださいね！ (2017年8月22日 15時) (レス) id: 0081b71d8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優桃 | 作成日時：2017年8月21日 14時
