11話 ページ13
史人side
「え･･･今、何か言った？」
「･･･っ！別に何も言ってねぇよ。」
「そっか。」
相浦は僕と目線を合わせないまま、そう答えた。少し引っかかるけど、これ以上は踏み込めそうにないな。
僕は黙って手当を続けた。
背中にまでアザがあった。痛々しくて見てられなかった。
「･･･はい、これで手当は終了。もう23時近くになったしそろそろお家に帰らないとね。僕が親御さんに連絡しておくからタクシー呼ぶね。」
「･･･は！？べ、別に親に連絡なんかしなくていい。てかすんな！やめろ！」
相浦は頑なに親に連絡する事を拒んだ。
困ったなぁ。
流石に連絡なしで帰らせるのは･･･
「でも･･･きっと心配してるだろうし。」
「俺の親は、心配なんかしねぇよ。帰ってこなくていいって･･･思ってる。」
「そんなこと、思うわけないでしょ？」
「うちの親は、そうなんだよ。」
そう言えば、先生達の噂で聞いたことがある。
相浦の家庭環境は複雑で、親に見放されているらしいって。
悲しそうな相浦を見ると、このまま家に帰らせる事に気が引けてしまった。
「先生･･･」
「なに？」
「お願い、今日だけここに泊めて。」
相浦は小さい声で呟いた。
ベッドのシーツを握りしめて、子供みたいに。
まぁ僕から見ればまだまだ子供なんだけど。
「お願い、今日だけ。今日だけだから･･･親に連絡はしないで。」
そんなに親が嫌いなのか、涙目でそう訴えてきた。相浦の泣いた顔なんて見るのは初めてで僕は断ろうにも断れなかった。
「･･･じゃあ、今日だけね。親御さんに連絡もしない。本当に今日だけだから、この事は誰にも言っちゃだめだよ。」
観念して僕がそう言うと、相浦は効果音が付くぐらいの笑顔を浮かべた。
なんだ、こんな風に笑えるんじゃん。
「ありがと、先生。」
「それで寝る場所だけど･･･僕のベッドでいいかな。」
「別に先生と寝たっていいけど？」
「僕寝相悪いから、君がベッドで寝て。今からお風呂入ってくる。君はどうする？傷、染みても平気なら入ってきてもいいよ。服は用意しておくし。」
僕がそう言うと、黙って脱衣所に向かった。
そういう所は素直じゃないんだな。
なんだか微笑ましくなって、僕は相浦の頭を撫でた。
舌打ちされたけど、別になんとも思わなかった。
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優桃(プロフ) - 綾さん» 初めまして、コメントありがとうございます。こちらこそ、読んでくださって嬉しい限りです(*^_^*)これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします。 (2017年9月17日 11時) (
レス) id: ac3cfbc466 (このIDを非表示/違反報告)
綾 - とてもおもしろかったです。素敵なお話ありがとうございます！更新頑張ってください！ (2017年9月14日 21時) (レス) id: 9b5a4fb179 (このIDを非表示/違反報告)
優桃(プロフ) - あんみつクラゲさん» わざわざ読んでくださり、コメントまで本当に嬉しいです。ありがとうございます(*^^*)更新頑張ります！ (2017年8月22日 17時) (レス) id: 18d71c1466 (このIDを非表示/違反報告)
あんみつクラゲ(プロフ) - イベントご参加ありがとうございます。とても素敵なお話でした(*‘ω‘ *) 評価の方もさせていただきました。これからも更新頑張ってくださいね！ (2017年8月22日 15時) (レス) id: 0081b71d8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優桃 | 作成日時：2017年8月21日 14時
