キューピット大ちゃん ページ3
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今日は金曜日。
新人生活は2週目を迎えた。
今日、来てくれるかな。
「あどけなさ、減ったね?」って言ってくれるかな。
顔が熱が集まる感覚。
俺、どんだけあの人に惚れてんだ。
「ひーかっ!!」
「おわっ……」
肩に手が乗せられる。そして大ちゃんの元気な声。
「浮かない顔ってか……顔赤いよ?」
大ちゃんってほんとデリカシーないって言うか、悪口みたいだけどほんとに。
「うるさい……」
「もしや…恋煩い?」
「……は?」
何なんだろうね。てか何で大ちゃんがそんな
言葉知ってんの。
「ひかマジで?!俺高校ん時よく仲介役してたからそういうの上手いよ!」
「分かった分かった……今度話すって」
「休憩時間に話して!絶対ね!!」
そう言い残して、ブンブンと手を振りながらお客様の注文を伺いに行った大ちゃん。
カウンターに座る常連のおばちゃんが、「大ちゃん、今日も元気ね?」とクスクス笑った。
クスクス、そんな笑い方が例のお客様を連想させる。
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「で、ひか。キューピット大ちゃんに全部聞かせな?」
休憩時間、コンビニのサンドイッチを片手に俺にジリジリと近付いてくる大ちゃんと、家で作ってきた卵焼きを頬張る俺。
「………金曜の夕方さ、カウンターに座ってた人。誰?」
「嗚呼、いのちゃん?……え、ひかいのちゃんなの?!」
「い、イノチャン………?」
「お姫様!!いのちゃんかわいいもんな〜ひか、いのちゃん今彼氏も彼女も居ないよ!」
お姫様?彼氏?彼女?どっちなの?
「俺と高木といのちゃんの高校、男子校なの。当然男臭いんだけどね、そん中で断トツ中性的だったいのちゃんがお姫様って呼ばれてて」
「てことは、男……?」
「それ、いのちゃんに言ったら怒られるよ」
そうなのか…。
否、ノンケではあったが、好きになればしょうがないという恋愛論か…。
「大ちゃん!光くん!お昼休みしゅーりょー!」
そう言えばフルネーム聞いてないな、と思いながらしまうお弁当箱の中には、卵焼きの欠片のみ。
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