. ページ8
「そんなことないよ、かっこいいよ。」
そう言って、彼の頭に手を伸ばす。
「迎えに来てくれてありがとね、傘も。」
そのまま頭を撫でようとしたとき、伸ばした手が彼の手に包み込まれて。
驚いて手を引こうとしたけど、びくともしない。
ラ「もー、いっつも俺ばっかり子供扱い。」
「そ、そんなこと…」
ラ「あるよ。だって他の人にはしないじゃん。」
手は繋がれたまま、彼が少し距離を詰める。
ラ「ちゃんとこっち見てよ。」
真っ直ぐ目を見つめられ、逸らしたいのに逸らせなくなる。
ラ「…この状況で、さっきと同じこと言える?」
「さっき…?」
ラ「そう。」
「迎えに…来てくれて…」
ラ「違う、その前。」
そう言う彼の瞳には、どんどん熱がこもっていく。
「か…かっこいい、よ…」
消え入るような声は、微かに震えた。
ラ「んー?聞こえない。なぁに?」
からかうように言う彼は、ものすごく楽しそうで。
「ぜ、絶対うそじゃん…!」
ラ「ふふ、だって、Aちゃんめちゃくちゃ照れてて面白かったから。笑」
「さいてー!いじわる!笑」
ラ「ごめんごめん。笑」
やっと、握られた手から温もりが離れる。
ラ「男にかっこいいって言う意味考えなきゃ。誤解されちゃうよ?」
また大人びた顔になる彼に、返答を迷っていると。
ラ「あ、でも俺だけにしてくれるなら、やっぱり撫でてもらおっかな。笑」
ケラケラ笑う彼に差し出された傘に入るのが、精一杯だった。
247人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みるくかぷちーの | 作成日時:2022年10月4日 17時