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部屋に戻ってまもなく、ドアをノックする音が聞こえた。
涼「ココア作ってきたよ。入ってもいい?」
「どうぞ…!」
同じ家に住んでいるのに、自分の部屋に誰かが入るのは緊張する。
涼「ここに置いておくね。」
「ありがとうございます…」
部屋のテーブルに置かれたものを見ると、頼んだココアと一緒にカイロが添えられていた。
やっぱり気づいてる…
またじんわりと涙が滲みそうになり、慌てて彼から目を逸らす。
「舘さんは、妹さんがいるんでしたっけ…」
涼「…ん?うん、2人いるよ。」
「どうりで…」
舘さんはそれ以上言葉を紡がない。
不思議と返事がなくても安心感があるのは、彼のもつ雰囲気のおかげだと思う。
「私も舘さんの妹になりたかったです。」
涼「どうして?」
「だって、料理もできて気が効くし、優しいし…そんなお兄さんがいるの憧れる…」
涼「…妹じゃなくてもよくない?」
「え。」
涼「妹じゃなくても、Aちゃんは大切な存在だし。」
あまりにもサラッと言われすぎて、聞き間違いかと思った。
涼「いつでも甘えたらいいんだよ。」
頭に置かれた手が、優しくて。
「ありが…」
涼「結婚すれば血は繋がるしね。」
「けっ…こん…!?」
零れそうになった涙が一気に引っ込む。
いやいや、まって、その前に…
「血は…繋がらないんじゃないですかね?」
涼「……あ。確かに。笑」
淹れてもらったココアを一口飲むと、じんわりと心があったかくなった。
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作者名:みるくかぷちーの | 作成日時:2022年10月4日 17時