かくやすぶっけん〜夕紅葉〜《雪》 (ページ16)

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目的のお店に入ると、店員さんからお好きな場所にどうぞ、と声をかけられた。

ぐるりと店内を見回して。

窓際に、外が見えるカウンター席を見つけた。

「ふっかさん、私あそこがいいです。」

小声になって話しかけると、笑顔で頷いてくれた。

席につき、メニュー表を眺める。

「え〜どれにしようかな〜、全部美味しそうで迷っちゃう。」

辰「どれで迷ってんの？」

「うーん、これか…これ…」

辰「じゃあ…俺そのどっちか頼むから一口あげようか？」

「え…！？」

辰「なんだよ。笑」

「ふっかさんってそんな気遣いできるんですか…」

辰「おい失礼だな！できるよ紳士なんだから！笑」

そう言って笑いながら、私の額を小突く。

私は、迷った末にパスタを注文して、彼は本当に私が選ばなかった方の料理を注文してくれた。

料理を待つ間、運ばれてきたお水を飲むふっかさんを、横目で見る。

スーツを着ている彼と、私服を着てその隣にいる私。

カフェの窓側のカウンター席が絵になる彼と…

辰「…ん？どうした？見惚れてる？」

「そんなわけないじゃないですか！」

辰「オイ、何でそういうときは否定早いんだよ。笑」

冗談として返せたか、わからないけど。

これはモテるわけだよな…と、心の中で思った。