3(ﾗｽﾄ1文追加) ページ48
二人肩を並べ歩く公園までの道
道路に面したお店から流れるクリスマスソングに
時折 足下から雪を踏む音が聞こえてくる
公園は
イルミネーションと薄っすら雪化粧
誰かが作った小さな小さな雪だるまが
入口でお出迎えしてくれて
ジョンインと笑いあった
「あのさ」
いつもの公園の
いつものベンチに座って
暗くなりつつある空を見上げていると
「俺、就職決まった」
冬特有の耳が痛くなるような感覚に
掻き消されそうな小さな声で
「春になったら、この街を出るんだ」
淡々と
ジョンインがそう口にした
言葉を返せずにいると
暖冬だと言うのに
ちらちらと小さな雪が降り始め
掴もうと手を開くけど
雪は掌の熱で一瞬にして溶け消えた
ほら、やっぱり
きらきら輝くものは
すぐに 消えちゃうんだ
胸のあたりを締め付けるような痛みが走り
鼻の奥がツンとする前にジョンインに微笑んだ
「おめでとう」
筆で幾重にも塗ったような
分厚い灰色の雲
そんな暗い色彩の中で
輝きを放つ小さく儚い雪
それはまるであたしの心の内を
表しているようで…
「そっか
来年はクリスマスを一緒に過ごせないんだね」
自然と笑顔のまま
そんなことを口にしていた
それから先は
あまり覚えていない
ジョンインがなにか言いたげに
あたしの顔を何度も覗き込んできたけど
結局 なにも
言ってはこなかった
☆☆
ー A
おひっこしって しってる？ ー
白い薄い靄の中から見えるのは…
あたしを見上げる幼い幼い ににたん
少し厚めの口唇を軽く開いて
ー ににんち おひっこしだって ー
膝の上の重み
抱き締めるあたしの腕に充てた
小さな手の温もり
淡々と話す 幼いににたんは
これから先 15年も会えなくなるのを
知ってるんだろうか…
ぎゅうっと ににたんの肩を抱くと
途端に肺いっぱいに広がる草の香りと
ぐいぐい指に押し込まれる感覚
ー A、ににの およめさん ー
指にはめた シロツメクサの指輪に
ちゅっ と軽い口付けをする にに
こてん、と首を傾げて問う姿に
思わず頬を触ろうと手を伸ばす、けど
今度は肌が出ている部分が痛くなるような
冷たい風に吹き付けられて
思わずあたしは身を縮めた
ー 俺、就職決まった ー
ベンチに座って小さな声で言うのは
すっかり大きく成長した …ジョンインで
ー 春になったらこの街を出るんだ ー
あの引越の夜
夜空を駆けていった流星に
あたしは泣きながら何を祈ったんだっけ
…今なら あたし
流星に何を祈るんだろう
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にに(プロフ) - 久しぶりに読み返して泣きそうになりました。暖かく鮮やかな眩しいジョンインとヌナが幸せになりますように。 (2016年2月20日 4時) (
レス) id: 64f947eed1 (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - ももたろうさん» ももたろうさん、コメントありがとうございます！嬉しいお言葉までいただき、本当にありがとうございます！ににたんって絶対幼少時代からイケメンだと思いません？（笑）人の心を読み解くのに長けてそうな気がするんですよね！またぜひ遊びに来てくださいね (2016年1月3日 22時) (レス) id: 12583e7c2a (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - あおいさん» あおいさん、コメントありがとうございます！幅広いヌナ層の方々に想像しながら読んでいただきたく決まった年齢設定は設けてません。が、だいたい話の流れ上、10〜13くらい離れてるかな、と勝手に想像してます← (2016年1月3日 22時) (レス) id: 12583e7c2a (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 優華さん» 優華さん、お返事が大変遅くなり申し訳ありません！！心が暖かくなる、なんて嬉しい言葉をありがとうございます！いつも考えなしに出たとこ勝負なので纏まりがなく後悔しっぱなしですが（笑）暖かいお言葉をいただけると勇気をいただけます。ありがとうございました！ (2016年1月3日 22時) (レス) id: 12583e7c2a (このIDを非表示/違反報告)
ももたろう - 最高でした・・・(泣)ににがかわいかったり、かっこよかったり・・・子供の時からイケメン＾＾すごくおもしろかったです (2015年12月31日 13時) (レス) id: e2049e8ae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みこ
| 作成日時：2014年5月25日 18時
