ににたんと

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金色の折り紙で作ったメダル
首にかけたリボンを握り締めて
堪えるように泣く にに

「どうして謝るの？」

堪えても堪えても
止まらないしゃくり声

「一生懸命走ったじゃない」

ぷりぷりと
黒髪を揺らしながら首を振る

「だっで、だっで…」

しゃくりあげながら

「…かっこわるい…」

ぐずり、ぐずりと鼻を啜りながら
聞こえるか、聞こえないかの
小さな声で喋る にに

「転んだから？」

こくん

「ビリになっちゃったから？」

こくん、こくん

「メダル、
あたしにあげられかったから？」

下がり眉と共に下を向いた ににの顔をゆっくりとあたしに向けさせると
ににの 目を見て ゆっくりと喋る

「にに、それは違うよ？」

真っ赤な目が
また涙を溜め込んで
揺れる

「一生懸命しているのに
かっこわるいことなんてないんだよ

あたしにとって一生懸命に走った
にには 他の誰よりもキラキラして見えたよ」

運動会の練習だって一生懸命走ったでしょ？
速く走れるようにってチキンもむせるほど食べたじゃない？

「にには あたしの中で1位だよ」

たとえ、転んでしまって
ビリになったとしても…

「こんどは Aに
めだる、あげるから」

ににの眉は下がったままだけど
頑張って笑ってみせるから
あたしも笑って返すね

「うん！
来年は1位のメダルちょうだいね」

力強く縦に首を振る にに


ーまぁ、もう？ー

ーまだ先かと思ってたんだけどー


ふいに思い出すオンマ達の声は
やっぱり あたしを不安にさせる


ーいつ頃なの？ー


『こんど』は
来ないかもしれない

『来年』は
一緒にいられないかもしれない


「にに、
おんまにめだるみせてくる」

頰についた涙の跡を拭い
立ち上がる

握り締めて よれたリボン
潰れてしまった折り紙の端

そんな手製のメダルを にには
大切そうに撫でた




ねぇ、ににたん

これからあなたが歩む
長い長い人生

沢山の人に出会って
沢山のことを学んでいくね

そんな『沢山』に
あたしは紛れてしまうよね

それでもあたしは
願ってしまう


どうか、


どうか
あたしの笑顔を覚えていて、と

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