冥界の主と少年。 (ページ42)

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あけおめ。ページ42

「あけおめことよろおお!!!」

「あの…鈴芽さん…近所迷惑だし、頭に響くからやめてもらえませんか…？」

1月1日午前十二時。
除夜の鐘の音と共に飛び上がって叫ぶ鈴芽を黙らせる。

昨日はみんなで年越しをしようと私の家に集まってきたのだ。

最初はそんなに乗り気ではなかったが、お酒を飲んでおもちを食べたらすっかり吹っ切れた。
みんなで騒いで、思いっきり馬鹿騒ぎした。

食べて笑って、食べて笑っての繰り返し。

そのうちに疲れて寝てしまった少年と兄貴に毛布をかぶせる。なんだかんだ言って、子供は子供だな。

「冥界さん冥界さん!!」

「なに？」

一息つこうとしたら、半ば興奮気味の涼芽に呼ばれて振り向くと、

「スキあり!!」

「うわっ」

急に光がフラッシュして驚いて思わず目をつぶる。

ソロリと目を開けると、カメラを構えている涼芽が立っていた。

「…え？」

あれ、カメラ？
カメラは確かこの前、アルバムとともに燃やしたはずなのに。

狐につままれたような顔をしていると、涼芽がニッコリと微笑んだ。

「この前アルバム見てたら冥界さんがちゃんと写ってる写真が一枚もなくて…」

あのアルバムは一冊だけじゃなかったのか。

涼芽の言葉にがっくりと肩を落とす。
今度は残りのアルバムも燃やしてこなくては。

この世からアルバムと言うものを消し去ろうと静かに怒りの炎を燃やしていると、涼芽は「だから」と言葉を続けた。

「一緒に写真撮ろうよ、冥界さん」

�・冥界の主観察日記�・

･年が明けた夜、冥界さんはようやく自分がちゃんと写っている写真を手に入れた。

「涼芽…ありがとう…お前が友達でよかったよ…」

「いや…そんな泣かれても…」