冥界の主と少年。 (ページ37)

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帰る時間。ページ37

「………」

「…………」

正面に座って、夜食のオムオムを食べる少年を穴が開くほどに見つめる。

「………」

「……なんですか」

流石に食べにくいと思ったのか、少年は不機嫌そうにそう言った。

「正直に答えろよ」

「？ ……なんですか」

「お前………いつもどこに行ってるんだ？」

「……は？」

最近、少年は帰りが遅い。
普段はほとんど家にいるんだが、たまにふら～っとどこかに行くことはある。
でも、五時くらいになるとまたふら～っと帰ってくる。
そう、帰巣本能だ。奴には帰巣本能がある。

それが今ではどうだ。

熱で倒れたあの日以来、家にいない時間が増え、帰る時間もどんどん遅くなっている。
朝帰りなんて一度や二度のことじゃない。

そんなに放置したら冥界さんﾀﾋんじゃうぞ？
ﾀﾋんだら終わりだぞ!?
ゲームみたいに復活しないぞ？
いいのか!?それでいいのか!?

悩みに悩んだ末に私は気づいた。

コイツ、

女ができたな。

「なんですか急に…別にどこだっていいでしょって言うか、ジロジロ見ないでください、気持ち悪い」

怪訝なオーラ丸出しで睨む私に少年はため息をついた。

「正直に言えよ…女ができても冥界さんの世話をしてくれるなら何も言わないぞ？」

ブツブツいいながら、近くにあった謎のボールを指でいじる。

「別に女じゃないですよ僕を何歳だと思ってるんですか」

オムオムを綺麗に食べ終わって、ごちそうさまと呟く少年を見て、頬を膨らます。

「だってお前、年齢不詳じゃん」

「こんな背が低くて童顔な人を好きになる人はあんたみたいなのショタコンだけですよ」

「んだと!?」

食器を流しへ持っていく少年の背中に向かって声を荒らげる。

「ちゃんと説明しますから、その女ができたとか、そう言う変な誤解はやめてください」

皿洗いをする少年を横目で流して、私は机に突っ伏した。