パーティー。 ページ33
「よし!こんなもんかな」
「腹減ったぞ…」
「兄貴さん摘み食いしないでくださいよ」
ダイニングルームから明るい光と楽しそうな声が漏れる。私はみんなをおどかすためにドアの向こうでスタンバイしている。
私の計画としてはこうだ。
楽しそうに準備をする少年達。
やがて、私がいないことに気づく。
みんなで手分けして探すことになって、
そこに私がモンスターに仮想して飛び出しておどかす…。
ふふふ…完璧だ。
私は一人で手作り衣装を着込んで、ニヤニヤしながらドアの隙間から中を見る。
「あれ、そう言えばなんか足りないような…」
席についた鈴芽がポツリと呟いた。そうだ!それでいい!!
何が足りないと思う!?
「あぁ、ご飯ですね 炊いてありますんで、ちょっと待ってください」
違う!!食べ物じゃねぇ!!つーかなんでお前らそんなに和風なんだ!!? ハロウィンは西洋文化って言ってるだろぉお!?
あまりのどかしさに、私は思わず壁を殴りたくなった。
いや…まだまだこれからだし、焦らずにゆっくり待とう。
✱
そう決意してからかれこれ三十分が経ったのだが、
『誰も気づいてくれねぇええ…!!』
私は心の中で叫ぶ。
廊下は人気がなくて寒々としていて、惨めになってきた。
寒い…お腹すいた……あぁ…みんな楽しそう…
ホームレスのように廊下の隅でガタガタ震える。
ずっとこうやって待ってたら冥界さんいつか凍えタヒぬ…
その前に目的を果たさねば…
拳をワナワナと震わせ、立ち上がる。
「恨めしやあああああ!!!」
ドアを蹴っ飛ばして一か八かで中へ突進する。
テーブルの前でありったけの奇声を発っする。
どうだ!驚いたか!冥界の主をのけものにした祟だ!!
「あ!冥界さん待ってたよ〜こっちこっち〜」
鈴芽は私を見て当たり前のように手招きをした。
「が?」
「冥界さん早くしないとスープが冷めますよ」
少年もそう言ってスープと鈴芽のご飯をお盆に乗せて運んできた。
「ほたほら座った座った〜」
鈴芽に背中を押され、席につく。その後に鈴芽と少年も席についてみんなでを合わせた。
「いただきます」
私はすっかり脅かすタイミングを逃してしまった。
「ちょっ…怖くないのかよ…モンスターだぞ!?」
そう喚いたが綺麗にスルーされた。
「冥界さん、かぼちゃのプリン食べる?」
「…………タベマス」
もう、どうにでもなっちゃえ。
〜冥界の主観察日記〜
・冥界さんは意外と単純
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黒猫柚月(プロフ) - 少年君、面白いです! (2016年5月26日 21時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜アルペジオ(プロフ) - たのしみにしてます!! (2016年2月26日 17時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
白桜 - とても面白いです!いつも読ませてもらってます。 (2016年2月11日 20時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - おもしろかったです!よかったら私の作品 見てください (2016年2月10日 15時) (レス) id: d722fb9a07 (このIDを非表示/違反報告)
sayaka(プロフ) - ヘモグロビンさん» いえいえ。ありがとうございます。 (2015年12月25日 20時) (レス) id: a1946caf5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でんでんむしの奇行種 x他2人 | 作成日時:2015年3月7日 20時