冥界の主と少年。 (ページ5)

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冥界さん。ページ5

少年は私の家に居候することになった。

まぁ、部屋は無駄にあるし？冥界の主だし？

子供が一人位増えたってどうってことないさ‼

「冥界の主さん、自慢乙です。」

なっ、なんだと!? コイツは読心術でも使うのか!?

よしっこんな時は話題を変えて誤魔化そう!!

「そういえば君、名前聞いてなかったねなんて言うの？」

誤魔化さなければ‼冥界さんの評判が!!

「名前は…多分ないです
あったとしても、僕が生きている間、誰かに名前を呼ばれたことは一度も無いので思い出せません」

「え、な、なんかすまん…」

「いいえさっきから冥界の主さん、僕のこと『少年』って呼んでるみたいだからそれでいいです」

「あ…そ、そう…?」

少年は無表情で何を考えてるのか読み取れない。
いきなり流れ出した気まずい空気に慌てる。

「そ、そう言えば『冥界の主さん』ってなんか呼びにくくない?ちょっと省略していいぞ？」

私がそう言うと少年は手を組み、考え込んだ。

「じゃぁ…『冥界』？」

「おいぃいい!! 省略しすぎじゃい!!もう呼び捨てじゃねーか!! 年上だぞ!? 私一応年上だぞ!?!?」

「あなたが省略していいって言ったんですよ？」

「だとしても省略しすぎじゃい! もはや場所の名前じゃねーか!!」

「はぁ……」

私が一々文句を言うのが気に入らなかったのか、少年は深いため息をついた。

「お前今、『面倒くさい』って思っただろ心底『面倒くさい』って思っただろ!!」

私も面倒くさいと思うけどいくら何でも「冥界」はダメだろ。

「じゃぁ冥界さん。これでいいでしょ」

「なんかもう…いいや」

「いいんですか…」

少年は私を冥界さんと呼ぶことになった。

✱

「冥界さん。 …冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん冥界さん。」

「うるせぇ! なんだよ!?呪いか!? 私に対しての呪いか!?」

「いえ呼んでみただけです」

「うるせぇよ!!何回呼ぶんだよ!!」

「何回呼べば堪忍袋の緒が切れるのか試してみたくて」

「Ｓだよ!!こいつ絶対ドＳだよ!!」

～冥界の主観察日記～

･冥界さんはいい加減な人である。

「違うわっ！って言うか、観察日記って何!?」

「冥界さんの弱点を探ろうと思いまして。」

「なんて恐ろしい子!!」