ユッピン♪が書くあやかし緋扇小説

第1話 ページ1

「Aさん！」

いつも通りマンションの前で、陵が待っていた。

笑顔の陵に心が揺れる。

あたし唐沢 A。高校1年生。

霊が見える。そして…襲われる。

霊からあたしを護ってくれるのが、神山 陵。

神社の跡取り息子で、除霊ができる。

あたしのことが好き、らしい。

メガネをかけた、どんくさい陵。

好きになるはずがない。

…なんて、思ってたのに。

霊から守られるたびに心は揺れ、今となっては陵が必要。

要するに…好き。

絶対言わない、というか言えないけど。

「な、なに」

小さな声で言い、陵に近づく。

頬が赤いことがバレないよう、うつむいた。

ふと見ると、陵の手にはなにかが握られていた。

「これ…」

陵はそう呟くと、あたしの手に何かを乗せる。

…チケット？

「今週の日曜日…遊園地に行きませんか？」

遊園地…？

もう一度見直すと、これは遊園地のチケットだった。

もしかして、誘われたのはあたしだけ？

そう思うと、頬が熱くなる。

「…別に…いいけど」

恥ずかしくなって、ぶっきらぼうに言う。

そんな自分に後悔。

もっと素直に言えたらなぁ。

それでも陵はニコッと笑った。

「ありがとうございます！ では11時に遊園地の入り口で待ってます」

「うん」

つられて、あたしも笑顔になる。

こういうのって、デートって言うのかな。

胸が高鳴る。

その時、陵の後ろに誰かが立っていることに気づく。

「陵くんっ」

その時、可愛らしい声が陵を呼ぶ。

第2話→

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