俺が居場所を確保するから。 ページ41
マナーモードのスマホの画面に、何故か、岡山中央警察署の文字と、着信。
「警察？A、俺、代わりに出てみよか？」
同時に気付いた健人さんが、あたしを見る。
『とりあえず、出てみますね』
席を立って、フロアの端っこで電話に出た。
『はい』
「山上Aさんの携帯で宜しいでしょうか？」
『はい、そうです…』
「岡山中央警察署の鈴木と申しますが」
『…はい』
「山上隆二さんを、岡山中央図書館への器物損壊の容疑で逮捕勾留しております」
『え？』
「図書館の館長さんも、特に大きな被害もなく、訴えるおつもりがないとの事で」
「逃亡の恐れがないため、明日か明後日中には釈放しますので、ご連絡させて頂きました」
『あの、申し訳ありません。ちょっと今、取り込み中でございまして』
『その、もう少し後で、お話させて頂く事は、可能でしょうか？』
「承知いたしました。では、そうですね。今から15分後、14時30分にご連絡しても、宜しいでしょうか？」
『はい。分かりました。宜しくお願いします』
スマホを持ったまま、立ちつくしてしまう。
「A、何があったん？」
動かないあたしを気遣って、健人さんがこちらに来てくれる。
『父が、器物損壊で…』
「えっ！…そうなん？片付けて、ちょっと出よか」
『…はい』
健人さんに連れられて、すぐ近くの公園まで歩いた。
昼下りの公園は誰もいなくて、ベンチに座って放心状態のあたし
「A、大丈夫？」
『…あ、はい。あたしが司書をしてる図書館に、父が何かしたみたいで…』
『館長さんが、訴えへんから、明日か明後日には、釈放するって』
「Aは、どうしたいん？」
『え？』
「もし、もしもなんやけど」
「お父さんにもう、ほんまに会いたくなくて」
「持って来たい、大きな荷物がないんやったら」
「これからすぐ家帰って、どうしても必要な物だけ纏めて」
「大阪に、俺の所に来たらええから」
『健人さん…』
「不動産屋さんには、すぐ交渉してみるし」
「ちょっとの間は、ホテルとか、例えばウイークリーマンションとかになるかもやけど」
「俺がAの居場所を、ちゃんと確保するから」
真っ直ぐな瞳が、レンズ越しにあたしを見る。
『よろしくお願いします』
「8時までに劇場入りしたら、何とかなるから」
「よし、行こう！」
『はい』
「着いて２時間弱で、荷造りできる？」
『持ってくるん、身の回りの物だけやから、大丈夫です！』
「タクシー呼ぶわ」
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すーゆみ(プロフ) - 朝凪さん» めっちゃ嬉しいです。コメントありがとうございますm(_ _)m只今、現実世界で将来のための最終ミッションのため、更新が中々できていません。お待たせしちゃって、ほんまに申し訳ありませんm(_ _)m (2022年1月11日 7時) (
レス) id: dfaa17b8c0 (このIDを非表示/違反報告)
朝凪 - 設定やストーリーが素敵で一気に読み進め何度も読み返しています！ 要所要所の言い回しも綺麗でとても好きです。続きが読めるのを楽しみにしています (2022年1月6日 1時) (レス) @page39 id: f50a50fbe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2021年1月20日 21時
