カタオモイ。 ページ37
フルーツナイフやとはいえ、自分自身を傷付けてまで
俺を想って、九条を拒否したやなんて！
「痛かったやんなぁ…」
首の絆創膏を、改めて見た。
『あ、大丈夫です。表面の皮１枚、薄く切れただけやから…』
恥ずかしそうに、俺を見上げる。
『あたし、勝手な思い込みで…ごめんなさい』
立ち上がりかけたAを、抱き寄せた。
「思い込みや、ないから」
「ほんまに俺、Aが好きや」
『健人…さん』
唇を重ねたらもう、歯止めなんか、かけられんくなって
こんな俺にひいてまうのは、当たり前やし
やのに、衝動を止められへん
そんな俺を受け容れてくれるAは、悪くないねん
悪いんはまた、ただただ激しさを隠せずに、Aにぶつけてまう
俺の方や
スマホから流れるリリックとメロディが
気怠い脳と、心に滲みてゆく。
「…この曲、初めて聴いたけど」
『ん…そうなん、ですね…』
「生まれかわっても、また俺、Aに恋したい」
「どんなに最悪な出逢い方でも、たぶんAを、好きになるわ」
『…Aimerのカタオモイです』
「全然、知らんかった」
『この曲、一方通行の片想いっていうよりも』
『たぶんお相手のｺﾄが好き過ぎて、結ばれて一緒に過ごしても』
『好きが溢れて、おっき過ぎて』
『お相手への固い想いが、ずーっと片想いみたいに歳を重ねても』
『増えてゆくばっかりで、生涯、愛し続けるからみたいな、たぶんウェディングソングやから』
「何や、めっちゃ壮大なリリックなんやな…」
「A」
『はい』
「Aは、生まれかわってもまた、俺と出逢いたい？」
『あたし、この曲聴きながら、実は号泣してたん…』
「えっ？！…なんで？」
『だって、まさかほんまにあたし、健人さんとこんな風になれるやなんて…』
『絶対に、絶対に、叶うはずないって、思てたから』
『どんなに好きでしょうがなくても、住む世界線が、違うから』
あたしを見つめる瞳が、擽ったそうな笑顔で細くなる。
「そんな、たいしたﾓﾝやないのに、俺…」
『そんなん思てんのんは、健人さんだけやから』
『もしバレたらあたし、健人さんのファンに恨まれる…』
「やけど、芸人としての俺を見てるだけやから、お客さんは」
「洲崎と違って俺なんか、学生時代も陰キャやったし」
「芸人やなかったら、全然、誰にも見向きもされてへんよ、たぶん」
『そんなん言うたら、あたしも、ラニーノーズやノイズの健人さんを知って、好きになったから』
カタオモイ…２→←出逢ってしまったとか、偶然とか、そんなん関係ないから。
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すーゆみ(プロフ) - 朝凪さん» めっちゃ嬉しいです。コメントありがとうございますm(_ _)m只今、現実世界で将来のための最終ミッションのため、更新が中々できていません。お待たせしちゃって、ほんまに申し訳ありませんm(_ _)m (2022年1月11日 7時) (
レス) id: dfaa17b8c0 (このIDを非表示/違反報告)
朝凪 - 設定やストーリーが素敵で一気に読み進め何度も読み返しています！ 要所要所の言い回しも綺麗でとても好きです。続きが読めるのを楽しみにしています (2022年1月6日 1時) (レス) @page39 id: f50a50fbe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2021年1月20日 21時
