誰とも付き合えへん理由は。 ページ31
「へぇ〜、駅から近くで便利やねぇ」
『何でついてくるんですか！？』
「岡山観光より、Aの家の方が観たいのや！」
『もう、帰って下さい！』
「せっかく来たのにぃ〜」
「A！何処行ってたんや！？」
『お父さん…』
アパートの２階、１番奥の部屋の前から、こちらを見下ろす男性。
髪はぐしゃぐしゃやし、薄汚れた皺くちゃＴシャツに、ヘロヘロの半ズボン。
咥えたタバコを投げ捨てて、こっちを睨みつけてる。
「何やぁ、オトコと旅行かい！金欠のワシを見捨てて、ほんまに親不孝な娘やでぇ！」
「金ないから、昨日から何も食べてへん！腹減ったわぁ！」
これはちょっと、なかなかの父親やな
『九条さん、帰って下さい』
「え、何で？」
『元々あたし、九条さんを部屋に入れるつもり、ありませんでしたし』
『早くお金を渡して、あの人を黙らせんと、近所迷惑なんで』
Aにそんなｺﾜい顔、似合わへんし
そんなん、あかんよ
応えずに階段を駆け上がり、財布から３万出して親父に差し出した。
「ありがとう、ニイちゃん！」
笑う口元から、酒臭い息が立ちのぼる。
『えっ…九条さん！』
「まぁ、ほんならAのｺﾄ、よろしゅう頼むわ！」
スーツケースを置いたまま、急いで階段を駆け上がるA。
『ちょっと待って！お父さん！』
手を伸ばすAを、突き飛ばす親父
「あ！A、大丈夫？」
『九条さんにお金、返してよ！』
「うるさいわ！お前がくれんからやろ！」
振り返りもせず、階段を駆け下りて行ってしまった。
「…A…」
『ごめんなさい、あたし返しますから！』
抱き起こしたボクを、すまなそうに見上げてる。
「どっこも痛いｺﾄないん？大丈夫？」
『大丈夫…です…』
「荷物取ってくるから、A、ここで待ってて！」
『や…そんなん、ええから！ちょっと待って下さい…』
カバンから、財布出そうとしとる？
「待って待って！荷物だけ、取りに行かして！」
知らんふりして、早足で廊下を進んでゆく。
『あっ…待って！痛っ…』
慌てて追いかけようとしたAは、右膝を押さえて顔顰めてる。
「ほら、やっぱり大丈夫やないやん…」
「ボクが持ってくるから、ちょっと待ってて」
『えっ…あぁ…ありがとう…ございます』
「ほんまに、あがらせてもらっても、ええの？」
開いたドアの前で、Aに訊いてみる。
『はい。ご迷惑かけてすみません…どうぞ』
ボクが入ってドア、音たてて閉じた。
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すーゆみ(プロフ) - 朝凪さん» めっちゃ嬉しいです。コメントありがとうございますm(_ _)m只今、現実世界で将来のための最終ミッションのため、更新が中々できていません。お待たせしちゃって、ほんまに申し訳ありませんm(_ _)m (2022年1月11日 7時) (
レス) id: dfaa17b8c0 (このIDを非表示/違反報告)
朝凪 - 設定やストーリーが素敵で一気に読み進め何度も読み返しています！ 要所要所の言い回しも綺麗でとても好きです。続きが読めるのを楽しみにしています (2022年1月6日 1時) (レス) @page39 id: f50a50fbe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2021年1月20日 21時
