ほんまの、気持ちは……。 ページ18
Aがいなくなった独りの部屋で、烏龍茶を一気する。
はぁ、何やしんどくなってきたし、帰ろ帰ろ
会計を済ませて、店を出た。
『あの、そんなまさか、運命とかやなくてただの偶然です……』
目の前でドヤ顔する九条さんに、何て言うたら、解ってもらえるんやろ
道の真ん中で立ち止まってるあたし達は、かなり邪魔になってて
舌打ちしたおっちゃんが、睨みながら避けて歩く。
「ほら、こっちこっち」
肩を抱いた九条さんに、ななみちゃんの待つホテルと逆方向に、連れてゆかれる。
『えっ？あのあたし、友達が待ってるんで……』
慌てて、見上げるけど
「お友達には、ボクが連絡してあげるやん。“今夜は、帰りません”って」
あたしを見下ろす瞳は、妖しく光ってて
噎せ返る程の牡に、頭も身体も圧倒されてしまって、逃げる事ができへん。
……どうしよ
助けて、健人さん！
「お前！何してんねん！」
「え？！健人、何で？」
振り返った九条は、めっちゃびっくりしてるけど
Aの肩は、抱いたまま。
「Aさん、九条と一緒に行くん？」
『そんな……まさか』
「え？“まさか”って、傷つくわぁ」
「ほな、Aさんを離せや！」
やっと肩から、手を離した。
『あっ、じゃあ失礼します！お休みなさい！』
一礼したAが、駆け出しそうや
とっさに手首を、掴んだ。
『や、あの……健人さん』
「送って行くわ。こんなんおるから、危ないやろ」
「あ〜、はいはい。お休みなさい」
手を挙げた九条が、足早にその場を離れる。
戸惑い顔で、俺を見上げるA。
「送るんも、あかんかな？ほんまに危ないから」
手を離して、もう一度訊いてみた。
『ありがとう、ございます』
「何処のホテル？」
『カモンホテルです』
「あ〜、何や、あそこか！ほな、こっちや」
『え？』
「こっちのんが近道やし、早く帰れるから、友達が待ってんのやろ？」
健人さんの後について歩く。
酔っぱらいのおっちゃん達に、ぶつかりそうになって
見かねた健人さんに、手を引かれる。
「この時間のこの辺、酔っぱらいばっかりやから」
「ほんまに危ないねん」
こちらを見る瞳が、めちゃくちゃ心配そうで
触れた手の熱に、どきどきして
心遣いに、もっと身体が熱くなる。
好きが溢れそうや
ただのファンとしてやなく
ほんまは、やっぱり男性として
健人さんが
好き
やけど、居酒屋であんな感じで逃げ出してしもたから
今さら、こんなん
言えへん
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「お笑い芸人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すーゆみ(プロフ) - 朝凪さん» めっちゃ嬉しいです。コメントありがとうございますm(_ _)m只今、現実世界で将来のための最終ミッションのため、更新が中々できていません。お待たせしちゃって、ほんまに申し訳ありませんm(_ _)m (2022年1月11日 7時) (
レス) id: dfaa17b8c0 (このIDを非表示/違反報告)
朝凪 - 設定やストーリーが素敵で一気に読み進め何度も読み返しています！ 要所要所の言い回しも綺麗でとても好きです。続きが読めるのを楽しみにしています (2022年1月6日 1時) (レス) @page39 id: f50a50fbe1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すーゆみ | 作成日時：2021年1月20日 21時
