掛け違った、思いは。 ページ17
「ごめん、待って！」
慌てて裸足のまま追いかけて、Aの手を掴んだ。
振り返ったAは困った顔で、俺を見上げる。
「あー、ほんまにごめん！俺、おかしくなってたわ」
「そうやなくて、小説の事とか、話すつもりやったのに」
「あと、“九条がAの事、狙っとるから気をつけて”って言うつもりやったのに」
「この流れやったら、九条よりも俺のが、ヤバいヤツやんなぁ」
Aから手を離して、帽子を取る。
そのまま、両手を合わせて頭を下げた。
「ほんまに、ごめんなさい！」
そんな健人さんと、あたしを気にしながら店員さんが、通り過ぎる。
『ごめんなさい。とりあえず、今日は帰ります』
『友達が待ってるから、あまり遅くまでは』
こんな時だけ、都合よくてごめんなさい、ななみちゃん
「ん、分かった。じゃあラインだけ交換させて」
健人さんにスマホを渡したら
「あぁーっ！九条のライン、消してまいたいわ！」
『さすがに、それは……』
「ん、分かってんねんけどな」
口を尖らせながらスマホを操作する、健人さん。
やん、可愛い！
やっぱり、好き
健人さんが好き過ぎて、胸が苦しい
「いつ、岡山に帰るん？」
ちょっと首を傾げながら、見つめられて
『えっと、あのー』
どぎまぎしながら、応えを探す。
「ほんまにごめん。応えたくないよな」
右手で、頭をがしがしするたびに、照明の光で髪が、キラキラしてる。
キレイ過ぎて、背伸びしてつい、髪に触れてしまった。
「帰ってしまうまでに、ちょっとだけでええから、会うてくれへんかな？」
髪に触れてる手に、柔らかく重なる彼の手は、躊躇いがちで
『予定を確認しないと、お返事できへんから、後でラインしますね？』
応えながらも
きっとあたしは無理矢理、時間を作って
健人さんの元へ、駆け出してしまうんやろな
お辞儀をして店を出る。
速足でななみちゃんの待つ、ホテルに向かった。
もう１回だけ、電話してみよ
『はい。さっきは出られなくて、ごめんなさい』
「そんなん、ええよ」
Aの声の後ろから、聞こえる音や、ざわめきが
ボクの居る場所にもほぼ同じタイミングで、微かだけど聞こえる。
スマホをスピーカーにして、聴力を最大限に研ぎ澄まして、走り出す。
「見つけた！」
ボクの声に驚いて、振り返るA。
『九条さん……』
「今夜はやっぱり、ボクと過ごす運命やったんやね！」
Aの瞳の中に、存在してるのは今、紛れもなくボク独りだ。
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すーゆみ(プロフ) - 朝凪さん» めっちゃ嬉しいです。コメントありがとうございますm(_ _)m只今、現実世界で将来のための最終ミッションのため、更新が中々できていません。お待たせしちゃって、ほんまに申し訳ありませんm(_ _)m (2022年1月11日 7時) (
レス) id: dfaa17b8c0 (このIDを非表示/違反報告)
朝凪 - 設定やストーリーが素敵で一気に読み進め何度も読み返しています！ 要所要所の言い回しも綺麗でとても好きです。続きが読めるのを楽しみにしています (2022年1月6日 1時) (レス) @page39 id: f50a50fbe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2021年1月20日 21時
