Always beside me theird "Takafumi Suzaki" (ページ37)

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溢れる感情と、ハーブティー。ページ37

泣きじゃくる〈かなちゃん〉と、何とか泣きやんで隣で見守る、A。

ティッシュの箱を持ったまま、２人に近づけない、俺。

テーブルに、そっとティッシュの箱を置いて、キッチンに向かう。

Aが買ったハーブティーが、確かこの辺に…

お湯を沸かして、ティーポットを温める。

こないだAに、ハーブティーの淹れ方、聞いといて良かった。

マグカップ🍺を並べて、スティックシュガーも用意する。

〈かなちゃん〉、ご両親といろいろあって、大変やしかわいそうや、とは思うけど

俺やAに、何ができる？

家族のｶﾀﾁは、それぞれで

全くの部外者が、口出ししたりせん方がええやろうし

何かアドバイスが出来る様な、専門知識がある訳やない。

Aは、自分と〈かなちゃん〉の境遇を重ねてもうてて

やけどそれって、大丈夫やないやん

人の痛みを、自分のｺﾄみたいに感情移入して、共鳴してしまうAは

そんなに、強い訳やないから

心が壊れてしまわへんかと、俺は心配で

涙が、溢れて止まらへんｹﾄﾞ

あたしの中の、昏い感情や

醜く歪んだ想い

嫌らしい嫉妬心

もう諦めたはずの、親への怒り

辛くて、哀しくて、淋しい気持ち

ぜんぶ全部

涙と一緒に瞳から溢れて、零れ落ちてる。

何やわからへんけど、声あげて思いっきり泣くのって

めっちゃ、気持ちええんや

泣いてる花菜ちゃんに、あたし

なんにも、してあげれてへん…

不甲斐なさに、愕然としてる。

助けてあげるどころか、ただただ黙って

あほみたいに、横におるだけやん

こんなん、情けな過ぎる。

やっぱり院に戻って、臨床心理学をもっときちんと学んで

花菜ちゃんみたいな、悩んだり、困ってる人を助けてあげたい。

ほんまに役に立てる様になるんは、たぶんまだまだ先やし

もっともっと経験積んで、さり気なく、寄り添える様に

なりたい。

「…A」

廊下から、手招きする貴郁さんに呼びかけられ

ゆっくりゆっくり、そちらに向かう。

「とりあえず、お湯沸かしてんけど、カモミールと、レモンバームと、ラベンダー、どれがええんやろ？」

『え、貴郁さん凄い！』

『準備してくれたんやね！ハーブティー！』

「お湯沸かして、ポットあっためただけやで」

『あたし…なんにもできんくて…花菜ちゃんの横におるだけで…』

「Aがおってくれてたから、俺、安心してキッチンに行けたんやで？」

『…貴郁さん』

「こんな時にぴったりのフレーバー、教えてぇや」