Always beside me theird "Takafumi Suzaki" (ページ36)

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涙の無駄遣い、したくない…のに。ページ36

「おかしいって、そんなんあたしも解ってる」

「やけど、どうしても、どうしても許せんかったから」

「ずっとずっと独りのあたしには、洲崎さんしか、おらんから！」

「洲崎さんがあたしの事なんか、好きにならへんのは、解ってるもん！」

「でも、でも…なんで、なんでこの人なん？…なんで、なんで！？」

あたしを指差して、泣きじゃくる花菜ちゃん。

あたしを支えてくれてる、貴郁さんは、ほんまに困って、怒って、複雑な表情やけど

左足に体重をかけん様に気をつけながら、ゆっくり近付いて

泣いてる花菜ちゃんを、そっと抱きしめた。

小柄な〈かなちゃん〉を、さらに小柄なAが労るように、抱きしめてて

何やAまで、泣いてもうてるやん…

〈かなちゃん〉、そんなに思てくれるんは、ありがたいけど

まだ高校生やし、これからなんぼでも、俺よりも全然ええ男が、現れるはずやし

そんなん言われても、なぁ……

これ、どうしたらええんやろ

『貴郁さん、かなちゃん泣いてもうてるし』

『少しだけ、お部屋で話したりとかは、できへんかなぁ？』

泣きながら、Aにそんなん言われたら

イヤやなんて、言えるはずないし

「ん、わかった」

部屋で話して、なんとかなるんやったら、ええんやけど……

泣きじゃくるAの後ろに回って

支えながら、ゆっくりエントランスに向かう。

なんで、なんであたし、この女に抱きしめられてるん？

それに、なんで、この女…泣いてるん？

やめて！

って、抱きしめられてるんを、振りほどこうって…思たのに

なんか…なんか、あったかくて

居心地が…いい

あたしもう何年も、誰にも泣き顔見せてへんし

おばあちゃんがおらんくなってから、こんな風に抱きしめられてへん…

だって、泣いても誰も、助けてくれへんし

涙の無駄遣いやと、思てたから

無駄遣いなんか…したくないし

この女に弱みなんか、見せたくない

それに泣き顔なんか、可愛くない

めっちゃブサイクやから

洲崎さんに、見られたくないのに

なんやわからへんけど…涙が止まらへん

『花菜ちゃん、泣きたいだけ泣いたらええんよ』

『えらかったね』

『ずっと、ずーっと独りっきりで、我慢してたんやもんね…』

あんたなんかに、何がわかるんよ！

言いたいのに、声にならんくて

ヤバいくらいに、鳴き声が大きくなっちゃった。

カッコわる…あたし

そのまま、洲崎さんに支えられて

エントランスを抜け、エレベーターに乗った。