事後報告やけど。 ページ27
洲崎side
「ただいま。」
いつもなら、玄関のドアを開けてすぐに、Aが出迎えてくれるのに。
ソファーでぼんやりしてる。
「ただいま。A、どないしたん？」
『あ、おかえりなさい。ごめんなさい、ちょっとぼーっと、しちゃってた。』
「しんどいんやったら、先に寝とったらええんやで。」
『ううん、大丈夫。お風呂が先で良かったよね？』
「ん、一緒に入る？」
『ん、入ろっかなぁ.....』
「えっ！？ほんまに？」
びっくりして、Aの顔を見たら
『明日も朝から、劇場でしょう？』
「うん、10時から」
『ちょっと話したい事あるし、お風呂あがってから軽く食事してたら、遅くなっちゃうから。』
「うん！入ろ、入ろ！」
『ちゃんと聞いて欲しいから、いやらしい事は、しないでね！』
めっちゃ睨んでるやん！
「せえへんよ！」
『あたしが呼んでから、入ってきてね！』
「はぁい！わかりました。」
Aside
髪と、身体を急いで洗って、バスタブに濁り湯の入浴剤を入れる。
『はい、どうぞ！』
呼びかけてから、急いでバスタブに身体を沈める。
「お邪魔します！って、違うかぁ！」
やっぱり洲崎さんは、ニヤニヤしてるし、恥ずかしいから、彼から目線を外してしまう。
「そんな目ぇ、逸らさんでもええのに！」
『だって.....』
「で、話したい事って、何なん？」
『あ、事後報告になっちゃうんやけど.....』
髪を洗ってる彼に、花菜ちゃんと出会った経緯を、話し始めた。
『それで、ほんまにごめんなさい。今日、花菜ちゃんを家に入れて、キッチンで一緒に、お料理したん。』
『ここは洲崎さんの家やのに、相談もせずに、あたしが勝手な事しちゃって、ごめんなさい。』
「何や、そんな事？」
『え？』
「別に、大丈夫なんちゃうん？」
「その女子高生に、Aが"自分と一緒やって"同情って言うか、親近感がわいてもうたんやん？」
『ん、そうなんよ。』
「俺の家やって、言うてへんやろ？」
『もちろんやん。』
「ほんなら、別にええんちゃうん？」
『ん、ごめんなさい。だけど後から考えたら、自分の家でもないのに、勝手な事しちゃったなぁって.....』
「まぁ、もう終わった事やし、その"かなちゃん"もAのおかげで、少しは気持ちが楽になったんかも、って思えるから、ええやん。」
『ん、だったら、ええけど。』
バスタブに入ってきた彼に、後ろから、抱きしめられる。
「そんなAが、俺は好きやで。」
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2020年8月29日 20時
