ラニ鼻と、作り置きクッキング。 ページ25
花菜side
この人、そんなに悪い人やないんかも。
薄っぺらい慰めや、気休めみたいな励ましを言わずに、黙ってそばにいてくれてる。
radikoから聴こえる"ラニ鼻"では、洲崎さんのギターと、山田さんの即興ソングで、悩み相談に答えるみたい。
友達関係に悩んでる相談に対して、
〈ブロックしろー！〉
え、山田さん、ヤバない？
洲崎さんも、向井さんも、極端すぎやって笑ってはるし。
あたしが鼻を啜る音をかき消すように、山田さんの歌声が響いて、たぶんドヤ顔で
〈一人で飲む缶コーヒー！〉
って言うたんやと思ったら、
「これ、なんや面白いですね。」
つい、笑っちゃってた。
Aside
たまたまradikoから聴こえた、悩み相談に対する即興ソングの、山田さんの答えが
ネガティブを吹き飛ばすための、彼らしい極端な歌詞にしてあって。
花菜ちゃんも、あたしも、ちゃんと笑顔になれた。
「いきなり泣いてしまって、ごめんなさい。」
『ん、いろいろあるよね。』
「あ、時間がもったいない！さっ、早く作りましょ！」
『そうやね。あ、制服汚れたらあかんから、エプロン使って。』
急いで、エプロンを取りに行く。
花菜side
あれから、一緒にチキンカツと、牛すじカレーの残りでカレーコロッケを作った。
あたしが買って来てた、見切り品の野菜や、冷蔵庫の残り野菜を使って
きんぴらや、お浸し、煮物に、ピクルスに、浅漬けに。
この人を好きな訳やないけど、２年前におばあちゃんと料理したのが、最後やったから。
あれこれ工夫したり、裏技を教え合ったりしながらの料理は、実は凄く楽しかった。
『蒸し鶏は、スープ持って帰るんが大変になるからね。』
「あ、簡単やし、大丈夫です！」
ジップロックや、保存容器なんかに、作ったお惣菜を入れながら、笑い合ってた。
『花菜ちゃんと一緒に作ってて、楽しかったし、いろいろ教えてもらったから、勉強になったわ。』
「あたしも、調味料の割合とか、アレンジメニューのレパートリーを教えてもらって、ありがたかったです。」
『お互いの材料を合わせたから、種類もたくさん作れたしね。』
「コロッケ、ほんまにもらって帰っても、良かったんですか？」
『いっぱい出来たから、大丈夫。あたしも、花菜ちゃんの持ってきた野菜で作ったお惣菜、いっぱい、もらったし。』
「あ、それは、お互い様やから。」
『ほんまに、食べて帰らなくて、ええの？』
「炊飯器にご飯、残ってるから。」
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2020年8月29日 20時
