花菜の事情。 ページ24
花菜side
radikoで、ラニ鼻をかけてくれた。
それだけは、感謝してあげても、ええかな。
大阪では聴かれへんし、radikoはお金かかるから、アプリ入れられへんし。
初めて、ラニ鼻を聴けた。
めっちゃ嬉しい！
『さてと、花菜ちゃんは今日、何を作るつもりやったの？』
「あ、はい。鶏のむね肉が安かったから、チキンカツにしようかと、思ってたんです。」
めっちゃニコニコしながら、あたしの話を聞いてる。
「衣つけて冷凍しといたら、お弁当に使えるし、チキンカツ丼にもアレンジできるし。」
凄いうなずいてるやん。
「あと蒸し鶏も、作っといたら、煮汁はスープにできるし、サラダチキンみたいにして保存しとこうと、思って。」
え！なに？拍手してるやん！
「金曜日は、作り置きの日なんです。来週のために。」
『やっぱり凄いね！あたしなんかより、めっちゃお料理上手やん！』
「えっ？そう.....なんですか？」
『きちんと計画立てて、毎週作り置きしてるんでしょう。あたしも、見習いたいわ。』
見習いたいって、あたしの家の事なんか、何にも知らんくせに！
洲崎さんに愛されて、何の苦労もせんと、ぼーっとアホ面下げた、幸せそうなあんたに、何が分かるんよ！
「時間もお金も節約したいから！頑張って勉強せんと、行きたい大学に合格できへんし！」
「１日も早くあの家や、親から離れたいから！」
『花菜ちゃん.....』
あたしムキになって、言わんでもええ事、言うてる。
「２年前に親が無理やり、おばあちゃんを施設に入れてから、ずっと一人で.....」
え、何か涙出てきた。
「お父さんもお母さんも、早く離婚したらええのに！あたしがおるからって、別れへんし！」
「お互いに顔、見たないから全然、家に帰ってこぉへんし！」
「だから厄介者のあたしが、早くいなくなってあげな、あかんから！」
こんな話、するつもりや.....なかった。
「毎月、二人からお金だけ渡されて！だから節約しといて、一人暮らしのために貯金してるん！」
Aside
泣いてる花菜ちゃんに、何にも言うてあげられなくて、背中を撫で続けた。
"つらかったね、頑張ってるね。"
口にするんは簡単やけど
あたしは、その悩みやしんどさに、きちんと向き合える立場やないから。
ただ黙って、そばにいる事しか、できへん。
それぞれの家、家の事情は違うし。
専門家でもないあたしなんかが、アドバイスどころか、親御さんの批判なんて、するべきやないから。
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2020年8月29日 20時
